▼正直言おう。ラクサスはカッコいい。もう何れくらいカッコいいかって?今にも俺の腸が中央突破してしまうほどの怒りを覚えるほどですよ(ただの逆恨み)

なんかムカつく。とてつもなくムカつく。ゴリラのくせに。そもそも女がゴリラに群がってキャー!キャー!とかちょっと…………………………ぶふっ!


「なに笑ってやがる」

「んぷっ、ごめっ!ゴリラに群がる女…ぶふぉ!シュール!」

「…なんだ遂に頭に蛆沸いたか」

彼がこちらに振り向く。その顔は俺を哀れんだ感じで、それに少しムッと笑いを堪えた。

俺はラクサスと割りとしょっちゅう一緒に出掛ける。と言っても、彼は只の荷物持ちなんだけど。

けど最近は、彼の隣を歩くのが怖くなった。だから今だってラクサスの背中を俺は追う。


▼「早くしろよ」

「俺、ゴリラほど足発達してないんで」

「あー?なんだ、てめぇの足は棒なのか???」

「あーん?んだとゴラァ」

たまにラクサスが足を止めて、後ろを振り返る。どうやら俺に合わせてるみたいで「別に先いきゃ良いのに」と聞こえないようにポロリ、と溢した

彼と二歩距離を置いて、背中を見つめるようになってから別の光景がそこには広がっていた。

自分よりも綺麗な女性が、お洒落をした女性が、一人一人、ラクサスの姿に釘付け。こっちから見れば瞳にハートが入ってる。んな印象。そればかりが彼に行く道に広がる


「(別に気にしてないけど)」


昔から自分がこんな性格とか、お洒落とかお化粧とか元々疎いタイプだったし、それを一番判ってるのは俺。そんなことしなくても、皆も、ラクサスも、判ってるだろうし。

けど、なんだろう。改めてこう魅せられると、まるで彼はショーウィンドウに飾られている宝石なのではないか、とふと勝手に塞ぎ込んでしまう。

触れられない?感じれない?割りに合わない?見つめるだけ?

ああ…、あながち、そうなのかもしれない。



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