「ダイキくん」



少し低めで透き通るような、
滑舌のいいその声の主は
何故か俺を呼んだ



「…!?」



思わずその方向に振り返れば
いつもと変わらない読めない表情の
海道ジンが俺を見上げていて



「?、どうした?」

「…いや、で、何か用か?」



どうやら俺は随分間抜けか顔をしてたみたいだ。逆にコイツに首を傾げられ、俺は一息してからコイツに向き合う

するとまた、コイツは読めない表情のまま



「今度から、ジンって呼んでくれないか」

「っへぇ、わざわざそれを言いに?」

「…いつまでもフルネーム呼びは…」



そこまで言い、途中から少し伏せ目に
小さく呟くようにコイツはそう言った

なんだ、そんなことか



「俺が誰をどう呼ぼうが、俺の勝手だろ」

「……。」


コイツの視線と合うように
俺は少し体を屈む

するとバッチリコイツと目が合い
反らす気はないのがずっと俺を見つめる



「ジン」

「…!?」



まるでガンくれ合いみたいな中
俺がふとコイツの名前を呼ぶと

先程まで微動だにしなかった表情に
少し、驚きに染まった



「、お前から言っといて何驚いてんだよ」

「いや…あ、ありがとう…」

「礼言う必要ないだろ」



してやったり、と内心思いながら
未だに驚いているジンをおでこを
軽くつつく

すると、あの仏頂面のジンが
ふにゃり、とでも言うように笑うのだ



「(ま、得はしたねぇ…)」



その表情はきっと
バンや他のメンバーに
見せたことないだろう

ここまで無邪気に柔らかく
ジンが微笑む、なんて



「…ダイキくん」

「ん?」

「……にやけすぎ、だ…」





一足先に
こいつのあの表情を独り占め






………………………
勢い余っていつの間にか書いてた
皆には名前呼びなのに
仙道にだけフルネーム呼びされて
気にしてたジンくん

それとジンくんに名前呼ばれて
ちょっとビックリな仙道さんでした




mae tugi



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