オレンジ色の空
夕陽に翔る鳥たちの影は黒く

その鳥たちの鳴き声を合図に
子供は一番好きな我が家えと向かう時間



「どれくらい買っとこうかな…」



今日は早めにお仕事が終わり
「そう言えば食材尽きる頃だな」っと
僕はスーパーに足を運ぶ



「二人とも育ち盛りだし、
いっぱい買わないないと」



普段ならカップラーメンで
いっぱいの筈の買い物カゴは
精肉に野菜、料理の元でいっぱいで埋まっていた


ユジンの言う"二人とも"というのは
もちろん仙道と郷田のことである。

もはや二人との食卓や暮らしは
当たり前となっているのだ



「今日は僕がご飯作ってあげよっと……うわっ!?」

「よ、ユジン!」

「え…、郷田くん!?」



「たまには自分で」っと
今日の献立を悶々と考えながら
陳列棚を徘徊しているユジン

その背に重みが加わり
なんだっと勢い良く振り向いてみれば
近くにあった郷田の顔。



「なんだ、今日帰んの早かったなら言ってくれよなー」

「ああ、ごめんね…
…っていうか、もしかして郷田くん…」

「おう!俺も買い物!」



学ランで前全開のいつもの格好。
それに買い物をしている郷田は
正直、異様な光景だ

それを見てポカンとしているユジンとは裏腹、嬉しそうに郷田は横へ並ぶ



「そっか…、いつもは郷田くんが買い物してくれてるんだよね
すっかり忘れてた…。」

「おいおい…
今朝「買い物行くからお金くれ」
って言ったぜ、俺」

「…はは、ごめんごめん」



「ん」っと郷田くんに催促されて
カゴを持ってもらうと
一つのカゴに商品をまとめて
僕は空のカゴを元の場所に戻す

そうして近くなったレジに
二人で並ぶことに



「今日は僕が夕飯作るよ
いつも郷田くんに作ってもらってて申し訳ないもん」

「あー…、気にすんなよ
俺がしたくてしてたんだし…」

「うん…、ありがとうね」

「……おう」



郷田くんの言葉になんだか
胸が温かくて、思わずお礼が出る

彼はそれに照れ臭いのか
生返事を漏らして頬を掻く

それを見てまた
一層、胸が温かくなる気持ちになった









「俺が前で漕ぐから、ユジンは後ろ乗れよ」

「えっ」



会計が済んで、郷田くんに荷物を持ってもらいながら、駐輪場へ足を進める

郷田くんが僕の自転車で
お買い物に行くのは知ってたけど
まさかの彼の言葉に
僕は予想外で間抜けな声を漏らした



「ユジンだけ歩いて帰らせるわけにはいかねーよ」

「でも僕、二人乗り初めて…」

「ちゃんと俺に掴まってれば大丈夫だって!!」



「ほら早く!」っと半ば強引に催促されて、僕は少し不安ながらも
自転車の荷台に腰下ろす



「じゃ、行くぜー」



彼の揚々とした声と共に
カランッと下駄の音がペダルと重なり
グンッと自転車が動き出す

その勢いによろけて僕は落ちないように
ギュッと郷田くんの背に引っ付いた



「大丈夫か?ユジン」

「う、うん。なんとか」



背中越しに僕に声かける郷田くん。
それ答えるように、
僕は郷田くんの腰にまわした腕を
更に強くした

そうして判る。郷田くんの体つき



「(すごいな…男なのにくびれがある…)」



自分の腕のなかにスッポリ入って
しまうのではないかという位細い腰、

それなのに
鍛えられて割れているお腹の筋肉
しかも前全開な服装だと考えると
普通の女の子ならイチコロだろうな…



「郷田くんってさ、モテるでしょ?」

「へ?…いや、どうだろうな…」



カラン、カラン、
下駄がペダルを踏むたび音を鳴らす

歩道の左側を通りながら
郷田は少しの間を空けてそう答えた



「あんまそーゆうの、
考えたことねぇし」

「そっかー」

「それによ、」



この歩道の少し先、
そこを曲がればもう僕のアパート

曲がり角に差し掛かった時
郷田くんは言った言葉を更に紡いだ



「俺はユジンがいればいい、
って思ってっから。」

「へ…っ!!?」



彼の放った言葉に
僕は思わず手を離しそうになった
「ついでに仙道もな」っと
付け足された言葉が耳に残らなくて

いい、いきなり何言って…っと
郷田くんの背を見つめるも
彼の背には照れ隠しも恥じらいもなく、
それが余計に僕の体温を上昇させた




「っ…と、着いたぜユジン」

「………。」

「…ユジン?」



キィッとブレーキ音と共に止まって
郷田くんが気にせず僕に知らせる

それでもまだ顔が熱くて
彼の背から離れられない。

人を困惑させといて…全くこの子は!



「郷田くんのバカ!」

「え、えええ!!?」







夕陽と彼に墜ちる
君のせいで僕の顔がまるで夕陽に
なってしまったじゃないか!







………………………
もうね、時間軸ずれてるとか知ってる
ただ郷田とユジンの二人乗り
させたかっただけなのにこの駄文!
申し訳ないです…




mae tugi



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