ちょうせんしゃ コウキ



「おっ、待ってたよー!」


ジムの奥で私達を出迎えてくれたのは勿論、クロガネシティのジムリーダーであるヒョウタさんだ。
先にコウキ君が挑戦者としてヒョウタさんに挑む。


「行ってきます、ナマエさん……!」

「私はここで見てるよ」


緊張した様子でフィールド入りするコウキ君を私はバトルフィールドの端から見守る。
コウキ君を見ていると、自分の初ジム挑戦を思い出す。

私の時はレッドとグリーンがコツとか…ニビシティのジムリーダーが主に使ってくるポケモンとかをちょっと狡いけど教えて貰ったっけな。
私のポケモン達の相手にもなってくれてたし、本当に感謝しかない。


「いけっ、モウカザル!!」


コウキ君が投げたボールから飛び出してきたのは、ここに来る途中で進化したモウカザル…ヒコザルの進化形だ。
私のヒコザルはまだ進化してないんだよね。まぁ、中には進化することを怖がる子もいるらしい、人それぞれならぬポケモンそれぞれ、だね。

現在カントーにいる私のポケモン達は、進化することを楽しみにしていた子が多かったけど。


「へぇ、モウカザルか。じゃあこちらはこの子で行こう!」


そう言ってヒョウタさんが繰り出したのはイシツブテだ。

ルールはシンプルで、相手のポケモンを全て気絶させたら勝ち。……うん、これはカントーでも変わらないね。


「モウカザル、“マッハパンチ”!」


コウキ君のモウカザルが使用した技は、“マッハパンチ”だ。
かくとうタイプの技で、電光石火と同じ先制攻撃技である。
いわタイプのイシツブテには効果抜群だ。

コウキ君のモウカザルが使用した“マッハパンチ”はヒョウタさんのイシツブテに大ダメージを与えたようだ。


「イシツブテ、“いわおとし”!」


ヒョウタさんのイシツブテが使用した技は“いわおとし”だ。
いわタイプの技で、命中率はそこまで高くないもののイシツブテとはタイプ一致で威力は高くなるはず。
モウカザルへと進化してかくとうタイプが加わった事で、いわタイプへの耐性が少し強くなったけど、油断していればあっさりと負ける。

しかしコウキ君は油断することなく、モウカザルに指示を出していき、そして……イシツブテを倒した。


「へぇ、倒しちゃうか……。なら、次のポケモンも同じように倒せるかい?」


ヒョウタさんがニヤリと笑いながら、別のモンスターボールを取り出す。
そのボールから飛び出してきたのは、見たことの無いポケモンだった。


「なにあのポケモン……!」


自然と手はバッグに入ったポケモン図鑑を掴んだ。
あ、ポケモン図鑑なんだけど、私が持ち込んだものをナナカマド博士が手を加えてくれて、シンオウのポケモンを記録できるようにしてもったんだ!

だから、シンオウ地方のポケモンも対応済みって訳!


「ズガイドス……。あのポケモンはズガイドスって言うんだ」


図鑑説明によると、およそ1億年前のジャングルに生息していた所謂化石ポケモンだ。
シンオウにも化石ポケモンいるんだ〜。カントーにも化石ポケモンは生息していたらしく、カブト、オムナイト、プテラというポケモンの化石が見つかることがある。

一応カントー地方のポケモンはある程度見ているので、上記3体もこの目でしっかり見ているとも。神秘的な体験だったな〜。
私が生まれる前…それも大昔に生息していたポケモンを見た事を、神秘以外どう表せばいい?


「ズガイドス、ずつき!!」

「モウカザルっ!!」


ヒョウタさんの指示でズガイドスはずつき攻撃をしかけた。そして、モウカザルに直撃した。
そのパワーは、図鑑の説明で樹木を頭蓋骨でへし折っていたとあったように、とても強力なものだった。

あまりの迫力にひるんでしまったのか、コウキ君のモウカザルは動けなかった。その隙をヒョウタさんが見逃すわけがない。


「どんどんいくよ、ズガイドス!」

「負けない……モウカザル、マッハパンチ!」


”マッハパンチ”についてなのだが、コウキ君によるとどうやらモウカザルに進化したときに覚えたらしい。
チラッとヒコザルを見ると、姿が変わろうと兄であることを認識出来ているのか、キラキラとした表情でモウカザルを見つめていた。

もしかしたら近いうちにヒコザルも覚えるかもしれないね。
そうヒコザルに問いかけると嬉しそうに返事をした。
その様子にクスッと笑みが零れた。


「見ておいて、コリンク、ヒコザル。次に戦うのは私達だよ」


私の肩に乗っていたヒコザルは頑張るぞ!と言った気合いのこもった声で返事をした。
対するコリンクは、小さくそれでも隠しきれないバトルへの闘争心がこもった声で返事をした。


___そして、ジムチャレンジはコウキ君の勝利で幕を閉じた。





2021/10/01


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