対 戦国伊賀島中
雷門中対戦国伊賀島中との試合が開始された。
「……あれで翻弄されるのか。残念」
「相当自信があるんだな」
「速さと体力にはすっごい自信あるよ」
フィールドを見ていて思ったことを口に出していると、隣にいた鬼道さんが話しかけてきたので当然だと答えた。
「あれ以上の速さで走る事が出来る、と言うことか」
「勿論。僕があの試合に出てたら、あの戦国伊賀島中の人を翻弄してあげるよ」
「今から行っても良いんじゃないか?」
「僕、サッカー部に入ってないからさ。出られないよ〜」
鬼道さんにそう返して、フィールドを見る。
「忍者サッカー……これはどんな試合展開になるか、予想もつかないな」
鬼道さんのゴーグルがキラリと光った。
それを見て、ふと思った事があったので折角なので尋ねてみた。
「そういや、鬼道さんってそのゴーグルいつもしてるけど、外さないの?」
「そんなに俺の目が見たいのか?」
「別に?」
「……」
ありのままの事を言うと鬼道さんは黙ってしまった。
……あれ、もしかして落ち込んでる!?
僕と鬼道さんがそんな会話をしている間にも試合時間は流れていく。
「おお、“ドラゴントルネード”を止めるか」
豪炎寺さんと染岡さんの合体技を、伊賀島中のGKは止めた。
ボールは前線へと渡る。
「うーん、どっちかと言うと雷門が押しているのかなぁ」
前線に上がっていく壁山を見て思っている事を口に出す。
あ、動きを止められた。
「…ん?」
今度は風丸さんが上がってきた。
そんなにDFの人が前に出て大丈夫かなぁ。守りちょっと薄くなってるんじゃない?
ボールは松野さんから風丸さんに渡ったが、相手の必殺技によりブロックされた。
そしてボールはあの11番の人に渡った。
「…!必殺技か」
11番の人の必殺技が雷門中ゴールへと迫る。
円堂さんは“熱血パンチ”で迎え撃つ。
「……嫌な倒れ方をしたな」
0-1
円堂さんはゴールを守り切れず、戦国伊賀島中に先取点を許してしまった。
鬼道さんの言うとおり、今円堂さんは良くない倒れ方をした。
「うん。……支障がなければ良いけど」
戦国伊賀島中の勢いは止まらず、再びゴール前に相手が迫る。
9番の人の必殺技が雷門中ゴールへ迫る。
が、これは円堂さんの正面だ。
円堂さんはキャッチした所で、前半戦が終了した。
「一度試合に出場したのに、何故そのまま続けなかった」
「だって雷門弱いんだもーん」
鬼道さんの質問に正直に答える。
「だけど、」と言葉を続ける。
「見飽きないんだよね」
「見飽きない?」
「うん。……円堂守がいるから、こうして見ているのが面白い」
「なるほど。それは同感だ」
鬼道さんは僕の言葉に鼻で笑った後、同じ意見だと答えた。
2021/02/21
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