対 戦国伊賀島中



“試合は明日に決まったわよ”

“対戦相手は『戦国伊賀島中』”

“あ、見に来るなら顔見せなさい!絶対よ!!”


「……なんでこんな圧が強いんだろう」


メールを見ながらそう呟いた声は、会場の盛り上がった声でかき消された。
試合終わった後に逃走できるかな……。


「私服で来ちゃったし……。はあぁ……」


座っている椅子の背もたれに寄りかかり、腕を組む。
お、雷門の練習時間か。
フィールドに入ってきた雷門イレブンを見てそう思った。


「……お、中々速いじゃん、あの人」


突然現れた人を見て、言葉が出る。
あれは、さっきまで練習していた戦国伊賀島中の人だな。えーっと、誰だっけ。名前わかんない。

豪炎寺さんからボールを奪った戦国伊賀島中の11番の人を見る。
何か言い合っているような感じだが、入ってきたのはあの11番の人が先である。


「……なんでカラーコーンを置いてるんだ?」


カラーコーンを置いて、何かを準備している。
そして、ボールを持った風丸さんと11番の人は並ぶ。
春奈のホイッスルで、二人は走り出した。


「おー、風丸さん結構速いな」


フィールドで行われている光景を見て、そう口に出す。
ま、僕の方が速い自信あるけど!


「隣、いいか」

「どーぞ?…………ん?」


聞き覚えのある声がして、隣を振り向く。


「決勝戦以来だな、苗字」

「き、鬼道さん!?」


なんと隣に座っていいか、と尋ねてきたのは鬼道さんだった。
僕と同じ私服姿である。


「試合前に罠を探すのを手伝って貰って悪かったな」

「いえいえ。……まあ、天井から鉄骨落ちて来たのは驚きを超えて冷や汗が出たよ」

「こちらも気付くのが遅くなってしまってな。……本当に危なかった」


どうやら鬼道さんは試合開始数分前に気付いたらしい。


「嫌な話はやめて、試合観戦といきましょうよ」

「そうだな」


フッと笑った鬼道さんを見ていると、ホイッスルが鳴り響いた。どうやら練習時間が終わったらしい。
いつの間にか風丸さんと11番の人の勝負らしきものは終わっていた。





2021/02/21


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