光と闇



次の日

橋を歩いていればいつも見えてくるのは河川敷のグラウンド。
そこにはいつも通り雷門イレブンがいて……って、ん?他にも誰かいる。


「……練習試合かな」


付けていたイヤホンを外し、ポケットに突っ込む。
今日はパーカーではなく、涼しさを求めて少し女の子っぽい格好だ。
髪を結んで、肩出しのトップスに短パン、と今までの私服の中では露出度高めの格好である。
……だって今日暑いんだもん。そろそろ夏だなぁ。


「あれ、理事長だ」


視線の先に誰かいる。
そう思いながら歩くと、その人物が自分の通っている学校の理事長だと気付く。
思いっきり声に出していたので、目の前の男性はこちらに気付いてしまった。


「おや、君はうちの学校の生徒かね?」

「はい。こんにちは」


理事長の言葉に返事をし、挨拶をする。
隣に立って、河川敷のグラウンドを見下ろす。


「あの人達は?」

「彼らは伝説のイナズマイレブンさ!」

「イナズマイレブン……へぇ、あの人達が」


どうやらあの大人達は、鬼瓦のおっさんが言っていた伝説のイナズマイレブンと呼ばれた人達だったようだ。
……ってあれ?審判してるの鬼瓦のおっさんじゃん。本当にイナズマイレブンが好きなんだな。
あ、雷雷軒のおっさんもいる!イナズマイレブンの一員だったんだ〜。


「今日はイナズマイレブンと雷門中サッカー部の練習試合なのさ!」

「何それ、聞いてないんだけど」


僕は理事長の言葉にそう口に出したが、僕はサッカー部ではないため知らなくて当然である。
……だってこういう事があれば絶対春奈から連絡あるんだもん。いや今回は無かったんだけどさ。


「イナズマイレブン、か」


鬼瓦のおっさんがあんなに絶賛してたくらいだし、強いんだろう。
ポケットから携帯を取り出し、ある人のトーク画面を出す。


“ちょっと遅くなるかも”


そう文字を打ち込んでメッセージを送信する。
数秒たった後“既読”の文字が表示された。


“分かったよ”
“何か用事が出来た?無理して来なくても大丈夫だよ”


トーク画面を開いたままにしていると、ポンッと音が鳴りメッセージが現れた。
僕はその文字を読んで、字を打ち込む。


“用事は出来てないよ”
“ちょっと遅れるだけ”


そう送信すると、既に“既読”の文字が着いていた。どうやら向こうもトーク画面を開いており見ているらしい。


“了解”


そう送られてきたメッセージに、可愛らしい動物のスタンプを送ってトーク画面を閉じた。


「此処で見ていいですか?」

「勿論、構わないよ」


理事長からの許可も貰った事だし、此処で試合を観戦させて貰おうっと。
手すりに肘をついて、試合が始まるのを今か今かと待った。





2021/02/20


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