対 秋葉名戸学園
side.×
「えぇ〜!?ドクターストップ〜!!?」
円堂の大きな声が部室に、いや。部室の外にも響いた。
「すまん……、次の準決勝には出場出来ない…」
「そんなああああっ」
豪炎寺の申し訳なさそうな声に、円堂の大きな声が再び響く。
「…あ!そうだ!彼奴なら!」
「彼奴?」
思いついた様にそう言った円堂に、風丸が首を傾げる。
「苗字だよ!彼奴、“光のストライカー”って言われてるくらいだから、すっごい選手なんだろ!?」
「ああ。苗字なら、俺の抜けた穴を十分に埋められる」
豪炎寺は円堂の言葉に頷き、賛成の意思を見せる。
「そういえば栗松、お前苗字の事知ってたよな?」
「えっ!? ま、まぁ……」
「じゃあ栗松、苗字を呼んできてくれないか?」
「え、えぇ!?」
円堂は栗松が苗字が知り合いだと言うことを知り「お願いだ、この通り!!」と顔の前で手を合わせて頼み込む。
「で、でも、俺あんまり苗字さんと話した事ないし…」
「俺からも頼む、栗松」
円堂の言葉に躊躇っている栗松に、豪炎寺もお願いする。
「でも……、噂では怪我でサッカーを辞めたんだろ?それに、本人も言ってたじゃないか。サッカーはやらないって」
その2人の言葉に、風丸がそう言葉を掛ける。
栗松にとっては今の風丸は救いの神のようなタイミングだったが、彼の言葉に首を傾げる。
「そうなんでヤンスか?苗字さん、普通に運動しているでヤンスよ?」
「と言うことは、怪我ではない?」
「何か他に理由があると言うことか…」
「俺と同じように……」と豪炎寺が小さくボソッと呟いた。
「ま、とりあえず呼んできてくれ!栗松」
「ええええぇ…」
ニカッと笑いながら、円堂は栗松にお願いする。
先輩からのお願いに断る事ができず、栗松は渋々了承するしかなかったのだった。
2021/02/18
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