対 御影専農中



「………なんだよこれェ…っ」


帰り道
僕は目の前の光景にイライラしていた。
だって、これじゃあ……


「邪魔なんだけど!?帰れないじゃん!?」


僕の家はこの橋の向こうにある。……これでは家に帰れない。
仕方ない、遠回りするか。
河川敷の横にある道を通って、いつもの帰路を変更する事にした。


「……ん?あの車、何処かで見た様な……」


目の前に止まっている車を見てそう思っていた時だった。


「えッ!?」


なんと、河川敷へと降りていったのだ。なんて乱暴な運転なんだ…。
そう思いながら見ていると、誰かが出てきた。


「! 雷門夏未だ」


つい最近あったばかりの人物がでてきた。
あの車、あの人が乗ってるんだ。覚えとこ。…覚えて何に使えるんだろ。

雷門夏未は、集まってきたサッカー部達に何かを伝えている。
それを少しジーッと見つめていると、


「偵察ううぅぅ〜っ!!?」


と、大声が響いた。
…まさか、気付いてなかったのだろうか。


「どうみても偵察しかないでしょ…」


カメラやらノートやら持ってる人ばっかりじゃん。
……ああ。弱いからこういう事になることを考えなかったんだろう。
あ、もしかしてファンだと思ってたのかも!如何にも弱いところが考えそうな事だよね!
まあ、数人くらいは混じってると思うよ?


「ま、校内で練習してない分偵察しやすいよな」


少し様子を見ていると、どうやら必殺技抜きの練習に切り替えたようだ。


「……春奈、この頃ずっとサッカー部にいるなぁ」


そんなにハマってるのか、サッカー部に。
まあ、楽しそうにしてるしいっか。
……そろそろ一緒にマネージャーなろー、って言われそう。


「マネージャー業は出来ないからなぁ。コーチ業なら喜んでやるけど」


これ以上長居する気はない為、河川敷を離れた。
今日は病院に行く日だからね。だから早く帰りたかったのに……。


「………偵察隊、許さないからな」


一度振り返って、偵察隊を睨み付けてから帰った。
まあ聞こえてないだろうけど。





2021/02/18


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