対 尾刈斗中
尾刈斗中のGKが10番へパスを出す。
雷門中はディフェンスラインを下げて、守りを固める。
しかし“ゴーストロック”の仕組みを解明しなければ彼らに勝ち筋はない。
「先程“ゴーストロック”を見切れると言ったな。では、あの技の仕組みを答えてみろ」
グラウンドをジーッと見つめていると、帝国学園のキャプテンがそう言った。
「何?分からないの?」
「お前を試しているのさ」
「なるほど、…いいよ」
帝国学園のキャプテンの方を一度見て、再びグラウンドに目を向けた。
「ま、ざっくりと言うと『催眠術』だよ」
僕が口を開いた瞬間、キャプテンさんの大声がグラウンドに響いた。
そして、迫りくる必殺シュートを新たな必殺技で弾いた。
「…ゴロゴロドッカーン、…くくっ」
キャプテンの言葉に思わず笑ってしまった。…気付くの遅すぎ。あと何その台詞。
まあ、何とか4点目は守ったね。
やっぱり面白いなぁ、キャプテンさんは。
「最初に監督さんが選手を挑発する。…その時点で、既に仕込みは始まっていたのさ」
「ほぅ…。中々な視察眼だな」
「そもそも、監督が選手を弄んでいる時点で分かるはずなんだよね。例え相手選手であろうと、監督として最低な行為さ」
あの監督、試合始まる前に雷門に挑発してたもん。
え?見てたのかって?ちゃんと見てたよ。隣にいるこの2人と話しながらね。
…そういえば、うちのサッカー部の顧問はサッカー経験者なのか?
「さ、次の問題は…」
“ゴーストロック”を突破した次は……、と思いながら尾刈斗中のGKを見る。
豪炎寺修也、君は見破れた?
そう思いながら、尾刈斗中のGKから豪炎寺修也に視線を移す。
「ま、確かに雷門は弱いけどさぁ…。その弱い奴にタネを見破られた。それ、まずいんじゃ無いの?」
大人しかったのはどこへやら。
うるさい尾刈斗中の監督に向かって、そう言った。
2021/01/17
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