参戦! 雪原の皇子
「つ、冷たい……。これが雪……!」
「本当に見た事も触ったこともなかったの?」
「はい! 僕、暑い地域出身なので!」
生まれたのは間違いなく熱い地域らしいのだが、僕が生まれた後別の場所に引っ越しているそうだ。
その後孤児院に入ることになり、じいちゃんとばあちゃんが僕と兄さんを見つけてくれたおかげでまた出身地に帰ってくることが出来たが、兄さんが入院のため東京に引っ越す……という経緯である。
今思えば結構忙しいな。
「熱い地域……南側の地域って事よね?」
「まあそうですね〜」
因みに、今何の時間なのかと言うと、現在別の場所で吹雪さんと瞳子姉さん、円堂さんと春奈がエイリア学園についての説明とキャラバン参加の話をしているらしい。
その間、僕達は自由時間である為……
「わ〜っい!」
「疾風スノーボール!」
「「ツインスノーボール!」」
雪国ならではの遊びをしている、というわけだ。
僕は秋ちゃん先輩と一緒に小さな雪だるまを作っている。
「ふふっ、苗字さん。本当に雪が初めてなのね。目が輝いているわよ」
「だってテレビでしか見たことなかった景色が、今目の前に広がっているんですよ!? 見ているだけで楽しいです……!」
……というのは本当だけど、向こうの雪合戦に混ざりたくなってきた。
「秋ちゃん先輩、向こうの雪合戦に混ざりに行きましょ!」
「え。わ、私はいいかな……」
「えー。じゃあ僕混ざりに行ってきます!」
「いってらっしゃい」
秋ちゃん先輩に見送られ、サクサクと雪の上を踏みしめながら雪合戦の場所へ向かう。
「僕も混ぜてくださーい!」
「苗字か。構わないぞ」
「今私達のチームが負けているから、貴女はこっちね」
「え、そんなチーム決めアリ?」
「一気に戦力あがったな!」
あっさり混ざることが出来た僕は、夏未さん率いるチームに加わった。
「あの、雪合戦って雪玉作って投げるだけでいいんですか?」
「うん。難しいルールなんてないよ」
「よぉ〜し、じゃんじゃん投げて、かわしまくればいいんですね!」
白恋中の人も混ざったチームは、意外にも楽しめた。
別に人見知りってわけじゃないけど、こんなにも馴染むことができるのは、雷門の特色だったりするのかなぁ。
「みんな、今から白恋中と練習試合を始めるから準備して頂戴」
暫く雪合戦で遊んでいると、話し合いをしていた瞳子姉さん達が現れた。
どうやら練習試合をする話になったらしい。
「試合、か。吹雪さんを見る試合かな」
僕もキャラバンに参加する前に言われたからね。僕の実力を見たいって。
さて、噂だらけで実力が見えない吹雪さんは、どんなサッカープレイヤーなのかな?
2021/11/13
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