参戦! 光のストライカー


side.財前塔子



「鉄塔広場にはいなかったな」

「苗字の奴、どこにいるんだ……?」


風丸と円堂の会話を聞きながら、私は溜息をついた。
私、財前塔子は円堂をリーダーに苗字名前という顔の知らない名前だけ知っている人物を探している。


「そもそも苗字名前って誰だよ……」


もうちょっと私に教えてくれてもいいんじゃんか!
顔わかんないんだし!!

と、思っていると橋が見えてきた。
へー、こんな所にもサッカーできる所があるんだ〜。
河川敷辺りを見渡していると、橋に誰かがいるのを発見した。

こういうのって聞き込みも大事だよな!円堂達もやってたし!
私は橋で携帯を弄る男の子に声を掛けるべく、列を抜けた。


「すみません、ちょっと聞きたい事があって」


……反応がない。
よく見たらイヤホンしている。
服の色に紛れてて分からなかった。
てか人がここに来たら気付くくらいないの?!どんだけ音量上げてるんだ?!耳悪くなってもいいのかよ!
目の前の人物のイヤホンを取り、もう一度尋ねた。


「す・み・ま・せ・ん!ちょおーっと良いですか!!」

「な、なんだよ急に!」


「人が気持ちよく音楽聴いてるところを邪魔するなんて……」とぶつぶついう目の前にいる人物。
近くで見ると結構顔整ってるなぁ。男?女?どっちかわかんないけど、服装からに男かな。


「で?聞きたい事って?」


こっちを見てすごく嫌そうな顔をする人物。
まあ嫌な顔をさせたのは私だけど、だからってそこまで嫌そうな顔しなくても。


「“光のストライカー”って言われてる人探してるんだけど、知ってる?」


目の前の人物は目を見開いた後、私を下から上へと見た後クスクスと笑い出した。


「な、なんだよ!人を見て笑うなんて……!」

「いや、君に対して笑ったわけじゃないよ。……“光のストライカー”だっけ?うん、知ってるよ」

「本当か?!」


後ろを振り返って円堂達を呼ぼうとしたが、振り返った先に円堂達はいなかった。
まさか置いていったのか?!


「私を置いていくなんて……!!」

「君、雷門中のサッカー部知ってるんでしょ?」

「? ああ、そうだけど」

「サッカー部のみんなをここに呼んで来てくれない?僕は“光のストライカー”を呼んでくるからさ」

「分かった!」


男の子から背を向け、私は雷門中へと向かった。
……大丈夫、方向音痴じゃないから辿り着くはずさ!


「……まさか、此処にいる事に気付かないなんて。ふふっ、相変わらず面白いなぁ雷門は」


男の子がそう言っていたのを私は気付かなかった。





2021/02/22


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