対 世宇子中



試合当日

試合会場が変わり、僕はその変更場所……世宇子スタジアムへと向かう。


「当日になって変更とか……。何考えてるんだ?大会本部は」


ぶつくさ言いながら観客席へと歩く。
観客席出入り口が見えてきた所、その前に誰かが立っている。
目の前の人物は光を背にしているので、誰なのか判別ができない。
しかし、


「おはようございます、我が天使よ」


その声で誰か分かった。……世宇子中のキャプテンだ。


「……ああ、おはよう。こんな所にいて良いのかい?」

「問題ありません」


世宇子中のキャプテンの挨拶に返答をする。
目の前の人物はこちらへと歩み寄ってくる。段々と人物がはっきりしてきた。


「申し遅れました。私は、世宇子中のアフロディです」

「アフロディさん、ね。……で?こんな所に1人で何しに来たの?」

「貴女とお話ししたかったから。……いけませんか?」

「……話すだけなら」


壁によりかかって腕を組み、横目でアフロディさんを見る。


「で?何を話してくれるの?」

「以前、私が言ったことを覚えていますか?……貴女の居場所は、世宇子中だと言うことを」


アフロディさんの言葉に何も答えずに、ジッと見つめる。


「私達世宇子中が勝利した暁には、我々の元へ来て頂きます。……これは決定事項です」

「そんな権利、誰が出せるの?」

「我が総帥、影山総帥です」

「!!」


どうやら、世宇子中のバックには帝国学園の総帥だった影山さんがいるらしい。
でも、その人って鬼道さんが言うには逮捕されたんじゃ……?


「それに、貴女にはある必殺技を見て頂きたいのです」

「……その必殺技、僕が使うあの技に似ているやつの事かな」


アフロディさんの言葉にそういうと、綺麗な笑みを浮かべた。


「はい。……貴女の必殺技“シャイニングエンジェル”に憧れ、完成させた必殺技……“ゴッドノウズ”を、誰よりも貴女に見て欲しいのです」

「“ゴッドノウズ”……。それが、あの技の名前か」


やっと知ることができた、僕の必殺技に似た技の名前。


「あそこまで似ていると、敵ながら褒めてしまうよ」

「ありがたき言葉。……もう一度、その目で見てください」


「貴女がいるべき場所、仕える神は誰なのかを」と、アフロディさんは言った。


「貴女が仕えるべき神は私だ。……円堂守などではない」

「残念ながら、僕は仕える神を選ばせて貰うよ」


僕がそう言うと、アフロディさんは微笑したままお辞儀をし、一瞬でその場から姿を消した。





2021/02/21


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