対 世宇子中
「……ん?」
悲鳴が聞こえた気がした。
この声は……壁山か?
と思っていると勢いよくこちらに走ってくる人物が。
「……壁山だ」
ものすごい速さで出てきた壁山は、目金さんの後ろに隠れた。…壁山のほうが大きすぎで隠れ切れていないけど。
てか、あんなに走れんの壁山。すっげぇ。
「だ、だだだから…、お化けが…、ささ3組の教室に……っ」
「3組の教室?」
……お化け?3組の教室に?
「なななな、なんかごわあああって!!」
「何言っているんですか!!そんなお化けみたいな非科学的なものが、この世に……」
「確かに誰かいた……」
……どうやら、壁山が言うには3組の教室に誰かいたらしい。
一緒に行動していた影野さんも、人影を見たという。…それも、大人の人。
しかし、大人の人は此処にいる雷門夏未の執事さんと、響木さん、生活指導の菅田先生がいる。
因みに僕に取って菅田先生は天敵である。……学校で携帯弄ってるのバレたら没収されるんだよね〜…。
「影山……!」
「影山?」
「もしかしたら、影山の手下じゃないか?決勝戦前に事故を起こして、相手チームが試合に出られない様にするのは、影山の手だ」
……なーんて会話が半田さんが持ち出したが、僕はそれどころじゃない。
お化け?まさか、この雷門中に?
いやでも、この学校って割と創立して経ってるんだっけ?
じゃあ、いる可能性も………!!
「ひっ!?」
「なに驚いてるのよ。私達も行くわよ」
「え?ど、何処に?」
「何処にって……校舎に決まってるでしょ?」
キョトンとした顔でそう答えた春奈。……冗談じゃない!!
「い、いや僕は……」
「ほら名前!行くわよ!!」
「い、嫌だあああああッ!!?」
***
「あ…っ、豪炎寺さん速い……っ」
僕の手から離れた背中にそう言う。
振り返った本人は呆れたように僕を見た。
「まさか名前……、お化けこわ」
「目が悪いから夜目が利かないだけ!!!」
隣を歩いていた春奈にそう言い返す。
そうだ、いくらコンタクトレンズをしているからとはいえ、夜目は利かないんだよ!うん!!
「お化けじゃなくて、影山の手下かもしれない大人だ」
「で、でも怖い……」
「本音が出たな」
豪炎寺さんの言葉にそう言うと、鬼道さんがフッと笑いながらそう言った。
「……ほら、掴まるならしっかり掴まってろ」
「はい……」
差し出された腕にしがみついて、豪炎寺さんの後ろを歩く。
夜目が利かないのは本当である。
目的の3組の教室に着き、二手に分かれて教室の前と後ろから入る。
しかし、誰もいない。
「……だ、誰もいないじゃん」
「ああ」
ホッとして、豪炎寺さんの腕から手を離す。
「いたぞ!!こっちだ!!」
突然、そう言った一之瀬さんの声が聞こえた。
驚いた僕は再び豪炎寺さんの腕にしがみつく。
「苗字、歩きづらい」
「だ、だってぇ……」
一之瀬さんの言葉で、皆が廊下に出た。
豪炎寺さんは僕が邪魔だと言うようにそう言った。
「暗いところはダメなんだよおぉぉぉ……」
「……はぁ」
僕の言葉に豪炎寺さんが大きく溜息をついた。
結局、壁山が見たという影はイナズマイレブンの1人であるOBの方だった。
2021/02/21
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