出会い



「なあなあ。お前はS級なんだろ?ブラックトリガー持ってるのか?」


太刀川さんと模擬戦をしていた日の事。
ボーダー内にある食堂で太刀川さんと休憩をしていた時、そんなことを聞かれた。


「? ブラックトリガーを持ってるっていうか、使い手に選ばれたからS級なんですよ?」

「そーだよなぁ……」

「どうしたんです?何か嫌な事でもあったんですか?」


珍しくテンションの低い太刀川さんを見ながら、コーヒーを一口飲む。そういえば今日は太刀川さんとの模擬戦、いつもより楽に勝てた気がする。


「知ってると思うが……近々ブラックトリガーの争奪戦があるだろ?」

「……何ですか、それ」


太刀川さんと私の間に変な空気が流れる。……もうこのパターン慣れてきた気がする。


「なんでしらねーの!?」

「忍田さんが教えてくれませんでした」

「お前、知らなかった事を全部忍田さんの所為にするなよ……」


だって、前に忍田さんは私には必要のない事だからって言ってほとんどの事教えてくれなかったんだもん。


「……いや、お前の場合はすでに使うブラックトリガーがあるから言わなかったのか」

「あ、そうかもですね」


やけにブラックトリガーに食いつくな……。今日の太刀川さんやっぱり変だ。


「太刀川さん、今日の貴方おかしいですよ。何があったんです?」

「……俺、ブラックトリガーに選ばれなかったんだ」

「当たり前です。ブラックトリガーに選ばれる人は多くないんですから」

「いや、その争奪戦になったブラックトリガーは少なくとも20人は適合したらしい」

「!!」


待って、ブラックトリガーを起動出来た人が20人もいるって事……!?


「そのブラックトリガーはなんて言うんですか?」

「『風刃』だってさ」


兄さん以外のブラックトリガーがボーダーにあったんだ……。一体誰が作ったのだろう。


「迅は選ばれた。風刃に」

「!」

「彼奴が勝つだろうな」

「……根拠は?」

「俺といつもランク戦やってるからな!きっと彼奴が勝つ」


「さ、模擬戦やりにいくぞ!」と太刀川さんは席を立った。
私には、太刀川さんが無理をしているようにしか見えなかった。



出会い END





2021/02/28


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