愛する君の声が聞こえた

side.???



またこの空間だ。
前に見た空間と同じだ。

視覚、聴覚がはっきりとしない。
でも此処が前と同じ場所であるのは間違いないはず。


「! そうだ、名前は……名前はどこだ?」


辺りを見渡すも同じ空間が広がっているだけ。
どこを見ても名前はいない。
存在するのは俺一人。
唯一気になる所と言えば……出入り口であろうドアだろうか。

ここを出れば敵がいるかもしれない。
だが名前の命には変えられない。
前は急な息苦しさに襲われてしまい名前を探す事すらできなかった。
急ごう、どちらにせよ時間は___


『聞こえるか、名前。聞こえていたら応答してくれ』


今、なんて言った?
名前って、言った……?


「名前、どこにいるんだっ名前!」


突然聞こえてきた声に愛する妹の名前があった。
敵は妹の名前まで知っている……?
分からない、何もかもが突然すぎて頭の処理が追いつかない。

何か、俺の脳が「分かる」と判断するものは……!


「名前、聞こえるか」


後から聞こえた声。
……まて、この声。聞き覚えがある。


「……名前?」


ゆっくりと振り返る。
声が似ている他人の可能性もあるからだ。
警戒を緩めるな、相手は大人数なんだか___


「……!!」


目が見開いていく。
だって、そこには___


「まさっち……?」


かつて相棒だと呼び合っていた人物がそこにいたのだから。





2021/02/24


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