玉狛支部



※若干ネタバレあり



少し前に本部…というより、私の部屋を訪れた桐絵から「いい加減玉狛に遊びに来なさいよ!」と言われたので、シフトを確認して予定を調整。
そして今日がその日である。


「……久しぶりだなぁ、あそこに行くの」


旧ボーダー本部基地。
現在は玉狛支部となっている場所だ。


「あ、そういえばほとんどの荷物部屋においたままだ……。桐絵が私を呼んだのは荷物取りに来いってことなのかな」


沢山荷物が入るバッグで来ればよかったな……なんて思っていると、視界に見えてきたのは玉狛支部だ。
懐かしい扉の前に立ち、ノックをする。


「……」


もう一度ノックする。
しかし、中から応答の声がない。


「まさか、誰もいない……?」


私との約束を忘れてる……!?
そう思ってドアノブを握ってドアを引いた。


「って、鍵かかってないし」


勝手に人が入ったらどうするの……。まぁ、防犯対策はされてると思うけど。ボーダーは関係者断固お断りだし。


「玄関の前で立って待つのも嫌だし……中に入っていようかな」


そう思ってドアを開けた。
その先に広がっていたのは、懐かしい光景と___


「お、やっと来たな〜」

「失礼しました」

「いや待って閉めないで!? 確かに今小南はいないけど、来たら中に入れるように言われてるから!!」


玄関に座ってぼんち揚げを食べていた迅さん。
……しまった、つい口と身体が無意識に動いてしまった。
ていうかなんで桐絵いないの。


「私、迅さんと2人っきりなんて嫌です」

「相変わらずの毒舌っぷりだね〜。でも、残念な事におれ以外にも人いるよ?」


どうやら迅さん1人ではないらしい。
林藤さんかレイジさん、陽太郎君辺りがいるのかな?

そう思って靴を脱ごうとしたとき……見つけてしまった。
女物の靴を。


「……迅さん、ついに女遊びに手を出したんですね。見損ないました」

「なんでその解釈になった!? 違うから!! ……って、そうか。名前ちゃんにはまだ言ってなかったっけ」


なんだ?彼女ができましたなら聞かないよ。……興味ないし。
あがってあがって、と言って先を歩く迅さんに着いていく。


「みんな〜、お客さんだよ〜」


迅さんが部屋のドアを開け、広がった光景にいたのは……。


「おぉ、この人がS級の!?」

「そそ。苗字名前ちゃん。名前ちゃん、実は去年の年末くらいに玉狛に新しいメンバーが加わったんだよ〜」


眼鏡をかけた女の子と、恐らくイケメンと呼ばれるだろう男の子がいた。
あれ、林藤さんとレイジさん、陽太郎君はいないの……?


「あっ、えっと……苗字名前です」

「噂に聞いてますよ〜。唯一の女性のS級隊員だって! あ、私は『宇佐美 栞』といいます! 今年で17です! よろしくお願いします、苗字先輩!」

「俺は『烏丸 京介』です。先輩の2つ下っすね。よろしくお願いします」


お、おぉ……中々フレンドリーだね。
私とは大違い……。


「宇佐美はオペレーターで京介は万能手オールラウンダーだな。この2人と小南、レイジさんで隊を組んでる」

「え、隊作ってたんだ……」


なんで教えてくれなかったの桐絵!
私も隊を作ったり入ったりしたいけど、ブラックトリガーを手放したくないし、それに……。
もうあのような迷惑をかけたくないから。

……でも羨ましいな、桐絵が!!





2021/09/18


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