第10節「私の個性」



次の日


「珍しいね、ジャン……アヴェンジャーが護衛してくれるなんて」

「何よ、悪い?」

「ううん、嬉しくって」


登校中の私の隣に歩くこの女性は私のサーヴァントの一人、ジャンヌ・ダルクだ。
だが彼女は正規のジャンヌ・ダルクではない。ある人物に作られた架空の存在である。

サーヴァントみんなの名前を外で呼べない為、外ではクラス名で読んでいる。クラスメートには英雄として名を刻まれた人物だとは言ったけれど……流石にバレないよね?


「そう。ま、またヴィランって奴が名前を襲いにきても私が燃やすから」

「頼もしいなぁ」

「私に任せなさい。誰であろうと名前に触れさせないわ」

「守ってくれるのは嬉しいんだけど、友達には手を出しちゃだめだからね?」


どうやら私がクラスメートにサーヴァントみんなの事を話したと言ったら、霊体化して姿を隠す事を止めたのだ。
昨日付き合ってくれたエドモンは霊体化してたりしてなかったりだったけど、ジャンヌは全く隠れる気がなさそうだ。
まあ霊体化していたら何にもできないもんね。一応会話はできるみたいだけど。


「ったく、気持ち悪いわね……。名前を見ている男共を今すぐ燃やしたいわ」

「多分アヴェンジャーの事を見てるんじゃ無いかな……」


ジャンヌの服装は暗めのもので、綺麗な足を露出している。スタイルの良いジャンヌにはとても似合ってるし、人目が来るのも納得がいく。


「そんな訳ないでしょ!?名前、貴女は昔っから危機感がないの、分かる!?」

「わ、分かったからそんな大声出さないでー!!?」


私の事を思って言ってくれているのは分かってるしすごく嬉しい。
だけどね、ここ思いっきり人目が多い場所なのジャンヌ!!分かって!!?


「やっぱりあの男、燃やしていいかしら」

「ダメだよ!?」

「だって名前を見てニヤけているのよ!?許さない!!燃やすわ!!」

「だーかーらーっ、ダメだってええええっ!!!?」



頼りになるけど、すっごく不安だぁ……。



***



「ねえねえ昨日のニュース見た!?」

「しっかし、どのチャンネルも結構でかく扱ってたよな〜」


教室は昨日取り扱っていたらしいニュースの内容……雄英高校襲撃について盛り上がっていた。
昨日私は相澤先生のお見舞いに行ったり、いーちゃんに個性について明かしたりしてニュースはあんまり見てなかったんだよねー。


「あの時先生達が来なかったらどーなってたか……」

「止めろよ瀬呂ォ!!考えただけでもチビッちまうだろ」

「うっせー!!黙れカス!!!」

「かっちゃん、声」


まあ峰田君の気持ちは分からないでもない。
でもねかっちゃん、目の前で大声出されるとかなり耳にくるんだよね。


「みんなー!!朝のHRが始まる、私語を慎んで席に着けー!!」


そう言いながら教室へ入ってきたのは飯田君だ。
とても委員長らしい行動で、拍手をしてあげたいんだけど……


「着いてるだろー」

「着いてねーのオメェだけだ」


みんな既に席に着いてるよ、飯田君……。
しかしHRは誰がやるんだろう……。私がお見舞いに行ったときは病院にいたけど……。
そう思っていると教室のドアが音を立てて開く。


「おはよう」

「「「相澤先生、復帰はえぇッ!!!?」」」


そこには全身包帯に包まれた相澤先生がいた。
あれ、完治してないのでは?大丈夫かな……。


「俺の安否はどうでもいい。何よりまだ……戦いは終わってねェ」



戦い

相澤先生の言う戦いとは何を指しているのだろうか。
聞こえる峰田君の声を耳にいれながら、相澤先生の言葉を待つ。



「___雄英体育祭が迫っている」



たいいく、さい?



「「「クソ学校ぽいの来たあああぁッ!!!!」」」



教室に響くクラスメートの叫び声。
体育祭、学校のイベントといえばこれだ!!

迫っている体育祭に向けて私は期待を膨らませていくのだった。



第10節「私の個性」 END

2章へつづく


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あとがき




2021/07/04


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