Girasol | ナノ

 01


空を2つの影が昇って行く。先を進む影は大きく、またその翼も大きい。もう1つの影はそれに比べると小さく、翼も小さい。
この2つの影は翼を持つが鳥でも魔物でもない。天の主に使える翼を有する者。ーー天使だ。
小柄な方の天使、ルナは胸に己が先ほど手にした星のオーラを抱え、先を行く師のイザヤールを見つめた。



ルナは幼い頃から体があまり丈夫ではなく、真面目な性格をしているものの能力は低い天使だった。それに双子の兄であるアルテミスが優秀であったが故に目立たない天使であった。
そんなルナに弟子にならないかと声をかけたのがイザヤールだった。
イザヤールは非常に優秀な天使であったがそれまでは弟子をとろうとはしておらず、そんなイザヤールに憧れ弟子になりたいと希望を抱く天使は何人もいた。ルナもその中の1人だった。
イザヤールが弟子をとることにしたと聞いた時、ルナはイザヤールの弟子はきっとアルテミスのような優秀な天使がなり、自分が選ばれる事は無いと思った。しかしイザヤールが選んだのはルナだった。ルナが目立たなくとも、能力が低くてもそれを補おうと努力していたことを見てそれを高く評価したとのことだった。(ちなみにアルテミスはイザヤールの友人であるラフェットの弟子になり早々に一人前になった)
ルナはそれからイザヤールの元で真面目に修行に取り組み、そして先日ついに一人前と認められ、ウォルロ村の守護天使となった。今日が一人前になって初めての仕事でルナが抱えている星のオーラはルナが初めて自力で手にしたものだ。

しばらく空を昇って行くと雲の間に宙に浮かぶ巨大な神殿のような建物が姿を現した。
これがルナやイザヤール達天使の住む天使界だ。

この世界には3つの世界がある。
人間や魔物達の住まう人間界、天使の住まう天使界、そして人間界と天使界、それに全ての生命の源を創造した神の住まう神の国だ。
天使は人間達の願いを叶えたり人間を助けることを生業とする。人間達に天使は認識できないが天使に感謝を捧げるとその感謝の気持ちが星のオーラとなって出現する。天使達はその星のオーラを天使界の最上にある世界樹に捧げるのだ。世界樹が星のオーラで満たされると女神の果実が世界樹に実り、神の国への道が開かれて天使達は神の国へと帰り解放される。それが天使達の夢。

2人はゲートをくぐって天使界の中へ入る。別にこのゲートをわざわざくぐらなくても天使界には入れるのだが、昔にとある天使が行方不明になってからはゲートを使い、天使の出入りを記録しているらしい。

「私はオムイ様と話がある。悪いが先に行かせてもらうぞ。」

そういうとイザヤールは急ぎ足で長老であるオムイの元へと向かって行った。恐らく世界樹のことだろう。
話をするのなら少し時間を潰した方が良いのだろうか。しかし下手に時間を潰してイザヤールとオムイを待たせてしまってはいけないだろうし、直ぐに世界樹向かうかもしれない。ここは世界樹に向かう方が懸命か。
ルナは世界樹へ向かうべく足を向けた。


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