はじめてのあさ(2/3)
◎
昨日のこと。
鷹雪くんと私。
ひとつになってしまった。
世の中にこんな行為があったなんて。
はじめは、どうしてこんなことをするのか理解できなかったけれど。
わかった気がする。
自分のすべてを相手に晒して、心と心が近づいた。
そんな感覚。
「鷹雪くん」
ふと思い出して寝室に戻ると、顔を真っ赤にした鷹雪くんがいた。
まだ服を着ていないみたいで、上半身裸のままベッドに腰かけ、足元には布団を掛けている。
どうしたの、と近寄ろうとしても来ちゃダメだと制止される。
布団の中でなにかもぞもぞとやっている。
「シーツ、洗おうと思ったんだけど」
「ちょっと、ちょっとだけ待ってて。持ってくから」
「うん。あ、……あのね、……」
キスしたい、なんていったら、驚くかな。
来ちゃダメと言われたけれど、もう少しだけそばにいたい。
昨日の夜見せてくれた、なにかを堪えているような。そんな顔をした鷹雪くん。
そっと近寄れば、ぎょっと目を丸くさせる。
「だ、だめだって」
「したいの……」
「な、亜子ちゃん……っ!?」
「だめ?」
「だ、め、でもないけど、……痛くない?」
「えっ、痛い? き、キス……」
「あ!」
あ、と私も気がついた。
鷹雪くんは、別のことを考えている。
昨日の、こと。
私も思い出してしまい、また顔が熱くなる。
「ごめん……またあとで、じっくりしてあげるから。ちょっと待っててね」
熱いほっぺに触れたあなたの唇。
「ちょっとだけ、ひとりにさせて。……着替えたいから。」
小さくうなずいて部屋を出る。
近寄ったとき、布団の隙間から少しだけ見えてしまった。
大きくなった男の子の部分をぎゅっと握りしめていた鷹雪くん。
男の子はそういうことをする、という知識はある。
前に一度、見てしまったこともある。
その時ははじまる前(って表現でいいのかな)だったけれど。
私のこと、思い出してたのかな。
昨日の夜のこと――。
鷹雪くんが触れてくれたところを自分でもなでてみる。
鷹雪くんがなでてくれた感触とは、全然違った。
「えっち」
私も、鷹雪くんも。
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不器用恋愛