ホワイトクリスマスには程遠い。(3/6)



 食事を無事済ますと、やはり心の準備が必要なのか、彼女は「ちょっとだけ、ぎゅって、して」とおねだり。

 頷き、そっと抱きしめたちいさな背中。

 さらさらとした栗色の髪からは、いつものきみのにおいがした。

「愛してる」。

 普段は照れ臭くて言えないけど、今日は特別な日だから。耳元に囁くと、彼女は小さく頷いた。俺の腕を優しく掴み「……うん」とほほ笑みながら振り向く。

 泣いてしまいそうな栗色の瞳に俺が映る。

 大丈夫だよ、そう、髪を撫でれば、彼女の手がメガネに伸びる。ぎこちない手つきでそれを攫うと、珍しく彼女からキスをした。

 軽く触れるだけの、やわらかいキス。
 くすぐったくて、胸の奥がジンジンとした。

 部屋の隅ではちいさなツリーに飾られた電飾が、ちかちかと光る。愛猫たちがじゃれあっていた。

 じっと見つめていた栗色の瞳からは、今にも羞恥の涙が溢れてしまいそうで。慌てて視線を落とせば膝にメガネが置かれる。俺の服の裾を強く握る彼女の手があった。



「……」

「……」

「……」

「……えっと。風呂、一緒に、入ろう」

「……うん」


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