子供っぽいかしら(2/4)



 程なくして彼女が帰宅し、安堵しながら「おかえり」と迎える。
 彼女は「ただいま」という。なにやら元気がなさそうだ。


 ふらふらと着替えをはじめたから、我関せずといった雰囲気を醸し出しつつ彼女の方に意識を向けた。

 いくつになっても見たいものは見たい。仕方がないのである。



「たかくん」

「はいはい」

「お仕事?」

「ん」



 着替えが終わったようで、ゆったりとした足取りで近づき、俺の隣にそっと腰を下ろす。眉を下げてじっと俺を見つめる。いやん、恥ずかしいな、と思いつつペンを走らせた。

 やはり、あたたかい。物理的、というよりも、心の、精神的にあたたかい。


 それから彼女はしばらく見つめたかと思えば、今度は俺の腕に抱き着いた。



「……?」



 うん。柔らかな肉に腕が挟まれているが極力気にしないようにしよう。



「うー……たかくん〜〜」



 おや。こんなに積極的な彼女は珍しい。



「もうすぐだから、ちょっと待って」

「うん……」



 ぷっと頬を膨らませ、俺の腕で遊ぶ。
 左右にぶらぶら、かと思えば前後にぶらぶら。腕の稼動域をフル活用し遊んでいる。

 今日は一体どうしたのだろう。少し、子供っぽいというか。甘えん坊な子供のようだ。

 時折彼女の頭を撫で、様子を見る。
 心地良さそうに笑うが、しばらく構わずにいるとまた頬を膨らませる。できるだけ急いで仕事を片そうとは思ったが、彼女と柔肉と、――いや彼女が身体を目一杯駆使して邪魔をした。


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