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「まさかハティナ公爵があんたを狙ってたなんてね、災難だったねレハト」
 
 
玉座に深く腰掛けたヴァイルはからからと笑った。
 
 
「うん、びっくりした。」
「ただでさえレハトはそういうの疎いもんなあ。護衛するのも大変だ」
「……ヴァイル様」
「うわ、冗談じゃん。そんなに睨まないでよ」
 
 
ローニカはいつも通り、ヴァイルの向かいに腰かけた私の背後に居るため様子はわからない。
しかしおどけたように笑うヴァイルの様子から、きっとまた眉間に皺を寄せているのだろうとわかる。
ヴァイルは肘掛けに肘を付きにやりと笑いながら、私を見た。
 
 
「ま、心配しなくてもいいよ。ハティナ公爵は今日付けで領地が変わったから」
 
 
此処からいっちばん遠いとこにね。
けらけらと笑いながらヴァイルは言った。
真の理由は隠したままの領地変更だったが、貴族たちの間ではすでに彼が何を仕出かしたか噂になっているらしい。
 
 
「自業自得だよ。王じゃないとはいえ寵愛者に襲いかかるなんて」
 
 
ヴァイルは笑うのを止めて言った。
 
 
「それにしても馬鹿だよね、あの男も」
 
 
私の背後へと、その緑青の瞳を向ける。
 
 
「よりによってその爺さんを怒らせるなんてさ」
 
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