ずっとずっと一緒に

ずっとずっと自分だけを見て

その心の中をうめて欲しい
大きな城から姫を攫ったこの犯罪者で

城の主は泣いただろうか
それとも怒っただろうか

怒った顔しか見ていない

もしかしたら怒りの後に涙が出たかもしれないが

涙が出る前に胸を斬ったから
顔が歪む前にうつ伏せに倒したから

分からない

止めを刺さなかったのは
執権乱用で心が殺された少女たちの痛みを少しでも体感させるため

戻らない過去

戻れない自分

変えられない未来

逃げられない城


檻に閉じ込めた少女たちの心を殺して人形にした主

だけど、心を隠して生き続けていた人形もいた

どれほど孤独だっただろう
どれほど空虚だっただろう

心があるのに空虚な世界はきっと寂しかっただろう

空っぽの心を持った少女を攫った犯罪者

もともと攫うつもりも出逢うつもりもなかった
突き放したかったくらい

でもこのサーカスを必要としていたから

人間は嫌いだけど
サーカスに必要だと思った

必要だから攫った

空っぽで唯一の味方は踊りだった少女

その空っぽの心をこの犯罪者で埋めて欲しい

踊り以外に何も持ってなかった少女

穢れない少女は一目見たサーカスに空っぽの心がうまった

自分も、穢れない少女の踊りを一目見てサーカスに必要だと思った

そんな少女はきっと城の主も必要としていただろう

それは身勝手な理由からだけど

そんな人を自分の娯楽の道具にしか思ってない人の、怒りに満ちた顔は、
自分の計画の歯車が狂うのに怒り狂った顔は、見ていて優越感を感じた

城の主が必要とした少女はサーカスからも必要とされ
サーカスを取った

ずっとずっと一緒に居るよ
それが城から姫を攫った罰で特権

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