29

今年のクリスマス休暇は人が少ない。とはいえ、まばらに生徒は一応いるし、ハリーたちは3人で残っていた。ジョージ曰くロンにはやることがある、は、イコールでハリーたちにもあるってことらしい。忙しそうだな。と、思っていたら。ハーミーが医務室に入院した。うそだろハーミー。

「こんちゃーす、ハーミーおげん……き…………」

白衣のナイチンゲールが見当たらないのを好機に遠慮なくカーテンをしゃーっと開けると、そこにはハーミー……らしき、不思議な人物がいた。人物なのかも怪しい。なんつったって顔が猫。獣人ってやつか?私もここでびっくり仰天しないあたり魔法界に慣れて来たんだろうけどさ。嬉しくないね!

「きゃあああ」
「ぶべっ!」

本を開いていたハーミーはその本を私に投げてきて、そのまま私に当たった。しかしなんとか受け止めるもその本、めちゃくちゃ重い。齢12とか13で何読んでんのこの子……恐ろしい……。

「なんでここにいるのよ!面会は禁止のはずよ!」
「あっまってしーっ、しーっ!マダムがいない間にと思ったんだって、ほらハーミーどうどう」
「どうして来たのよ!」
「ハーミーが入院なんて心配に決まってんじゃん」

まあ、大体把握したけど。苦笑しながら彼女に本を返し、カーテンを閉めてベッド際の椅子に腰掛ける。ハーミーは両手で顔を隠しているが、毛並みの良さそうな毛は普通に見えている。無駄無駄ァ。

「何したのハーミー」
「……なんでもないの」
「はあ……あんまり危ないことしちゃだめだよ、いくら魔法界はなんでもありだからって死ぬときゃ死ぬんだから」
「…………ありがとう、ナマエ」

お見舞いの普通のチョコを渡すと、ハーミーは顔から手をどかしそれを受け取った。猫の顔をまじまじと見る。よく出来てんなあ。ちょっと怖いが、まあいける範囲。

「尻尾は?」
「ないわ」
「顎くすぐるとゴロゴロ言う?」
「言うわけないでしょう」
「耳って動く?」
「うるさい」

ぴくぴくと耳が動いた。わあかわいい。ニヨリと笑うと、ハーミーは私の顔をべしりと叩いた。貴重な体験をありがとう、と手を伸ばして顎の下を触ると、ちゃんとハーミーはゴロゴロ言った。ううっ感じちゃうっビクンビクンッみたいな。そこまでエロくはないけど、不服そうに鳴らす姿、普通に可愛い。

「やめなさいよ!」
「えーもうちょっと」

「 何 が も う ち ょ っ と な ん で す か ? 」

後ろから聞こえてきた声にがたんと椅子から落ちた。や、やばい、この声は……!

「面会禁止と言っているでしょう!さっさと出なさい!マクゴナガル先生に言いつけますからね!」
「そんなあああマダム!今日も綺麗ですよ!」
「さっさと出なさい!」

魔法かなにかで廊下にほっぽり出され、保健室の扉はピシャリと閉められてしまった。何点減点されるかなあ、はは……。

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