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「アアアアアゥゥゥウウウ」
「うるさいぞモンキー!黙ってやれ!」
「むりいいいいいい」

手袋越しにわかるぬっとりとした感触に吐き気がする。でろでろ出てくる膿を普通に集めてるマルフォイくんが信じられない。

「お前、今までどうやって生きてきたんだ?ジャングルなんてもっとすごい植物がわんさかいただろうに」
「コンクリートジャングルにこんなのいなかった……たんぽぽくらいしかいなかった……」

そもそもジャングル育ち前提なのワロタ。はいはいモンキーモンキー、と心の中でいいつつ口からはあああとかうううとかのうめき声しか出ない。マルフォイくんが嫌そうに舌打ちをした。ごめんでもむりまじでむり。

マクゴナガル先生によって収集がついたあの場で、当事者である私とマルフォイくんは連れて行かれた。話の元はロンも巻き込んでいたわけだが、あの場で手を出したのは私だったからロンは普通に大広間に行った。そして私たちはスネイプ先生のところにぞろぞろと行き、ネチネチのお説教をされ、ならば丁度いいとこの腫れ草の膿を取る罰則を課された私だったが、ちょうこわいおじさんがマルフォイにもさせるべきだと口を出しまた話がやんややんやとなり、まあ、最終的にこうして2人仲良くもない空気で膿取りをしているわけだ。
なんでわざわざこの罰則選んだの?嫌がらせなの?嫌がらせだよね?マジでもおお、もおおおお、

「ぎぼぢわるいよおおおお」
「シレンシオ!」
「ーーーーー!!」

怒ったマルフォイくんに黙らされてしまった。よって場には膿の出る気持ち悪い音とそれを瓶に詰める音だけが残るわけだ。気持ち悪さ倍増。音を誤魔化すためダンダンと足踏みをしたらマルフォイくんがまた舌打ちをした。ごめんまじむりなんだって。

「僕は謝らないぞ」
「ーー?」
「お前が親無しなのは確かだろう。精神がおかしくなって聖マンゴに入院したんだって?可哀想にな」

マルフォイくんの言葉に草を勢いよく潰してしまい、べちゃりとローブに膿がついた。それに対しての悲鳴が出るが、声は出ない。意味わからん状況。まほうってすごい。つか私やっぱり入院したことになってるのかよ。
ハン、と鼻で笑うように言ったマルフォイくんは、その後何も話さずノルマをこなし、黙らされたまま無言でぎゃーぎゃー言う私だけが残されたとさ。クソ…。




魔法薬学の授業で何故かとばっちりを受け、鍋を溶かしたネビルと一緒に角ヒキガエルとかいうやつ気持ち悪いやつのはらわたを取るというある意味拷問な罰則をさせられた。この前から気持ち悪い続きなんですけどどうなってんの。あと大鍋の洗い方に文句つけるってのもどうなってんの。私今までずっとこの洗い方だったんですけど!?
気持ち悪い罰則にゴリゴリ精神を削られへにゃへにゃになりながら大広間でキッシュを食べた後、流れに乗って教室に向かった。

「あれ、次DADA?」
「そうだよ。……ナマエ、覚えてないの?」
「うん」
「教科書は、」
「…………アッ」

ドジっちゃった、と空笑い。羽ペンと羊皮紙くらいしかない。これはしんどい。

「あの、僕と一緒に見よう」
「いいの?」
「うん、後ろに座ればきっと大丈夫だよ」

優しいネビル様の申し出をありがたく受けた。救世主よ!ネビルちょうやさしい!ちょうやさしいボーイ!私は良い友を持ったことを実感した。これでスネイプてんてーだったらまた罰則ものだったけど、さて、あの、ちょうこわいおじさんはどうだろうか。あっそうだよちょうこわいおじさんの授業じゃん。えっ。めっちゃ嫌になってきた。サボりたくなってきた。
サボろうか本気で悩みながら一応教室に入ると驚いたことに大体の生徒が前の方に座っており、特にハリートリオは最前列にいるのが見えた。わ、わあ、熱心…。私とネビルは生徒に紛れつつ後ろの方に座った。なんかすごいね、とこそこそ話していると、ちょうこわいおじさんが来た。ついに。ドキドキしながら少し身を縮こませていると、ちょうこわいおじさんは座り言った。

「教科書は必要ない、しまってしまえ」

うおおおセェーーーーフ!感心して教科書をしまう皆を横目に机の下で小さくガッツポーズした。しかしちょうこわいおじさんはちょうこわいおじさんだった。

「フン、教科書を忘れたくらいで減点するような教師ではなくてよかったな、ミョウジ」
「うそん」

なんでバレてんのちょうこわい……。

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