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婦人にとって悲劇となったハロウィンから、ハリーの周りはかなり監視がきつくなった。あっ、護衛か。私から見たら監視みたいなものだ。監督生のパーシーとか先生とか、人選がかなり監視。ハリーはそのイライラをパワーに変えて危険スポーツの練習に励んでいる。頑張れ少年。

そう、危険スポーツの季節だ。季節らしい。もうすぐ試合だとかで、ハリーからは毎日のように見に来い応援しに来いと言われている。もう耳タコだよ、わかったよ、と何度言っても何度も言ってくるのでそんな感じのBGMだと思ってきているこの頃。以前のがトラウマになってる、って言われたら頭を撫でざるを得なかった。
しかし、私の中で心配事が増えた。危険スポーツの試合の日に近づきつつあるのに、お天気がどんどん悪くなっているのだ。台風が長続きしてますね?みたいなノリで。雨でも練習するのはサッカーとかも同じだけど、空を飛ぶって点ではすごく危ないと私の心がハラハラしている。屋内練習にはしないんですか……落ちたら死んじゃうよ……。(私の心が)
なんとか晴れないものかと羊皮紙でてるてる坊主を作ったりもしたが、悪天候はさらに酷くなるままとうとう試合前日になってしまった。一晩で雨雲逸れてくれませんかね……。

「明日大丈夫かな」
「晴れるといいね」
「晴れると思う?」
「うーん……どうだろう……」

はあ、心配だ。ため息をつくと、ネビルから「ナマエはハリーのお母さんみたいだね」と言われた。お姉さんって言って欲しかったかな。
ルーピン教授の人柄から人気授業になったDADAへ向かったが、教室には爽やかなルーピン教授ではなく陰気な雰囲気のスネイプ先生がいた。悪天候がここまで似合う人もなかなかいないぞ。というか服、黒しか持ってないのかこの人は。ならいっそスーツがいいと思うの。
本日はルーピン教授の体調が優れないため、スネイプ先生が臨時らしい。心配する声を「命に別状はない」で済ますのアバウト極端すぎないか。まあ、大丈夫なんだろうけど。

「本日学ぶのは狼人間である」

スネイプ先生のその言葉に生徒がざわざわし始めた。ネビルとどしたんだろうね、と小声で話す。ハーミーがスッと横から今日やる予定だったらしい範囲を言ったが、スネイプ先生はネチネチ言いそれを無視した。なんでも範囲をガッと飛ばすらしい。開きたまえ、という支持に大人しくページを開いたのは私のみだった。反抗心強いな!?スネイプ先生嫌われスギィ。

「人狼と狼の見分け方がわかる者は?」

スネイプ先生はそう言って珍しく生徒を見回したが、ハーミー以外誰も手を挙げない。そして先生はハーミーを無視した。スネイプ先生は今日も大人げないし、ハーミーは毎度無視されているのに諦めないいい子だ。さらにスネイプ先生はルーピン教授のことを嘲弄し、生徒からめっちゃ反感を買うもやっぱりそれを切り捨て、諦めないハーミーが人狼について解説するとしゃしゃるな、と減点を、それに反論したロンには処罰を下した。セブルス・コジュウト・スネイプやりたい放題である。今日は特にご機嫌ななめらしい。
ついでに授業の内容といえば教科書の内容を羊皮紙に写すという内容で、まあ私的にはありがたいものだった。楽万歳。

「満月の夜狼と変身し、朝日とともに人へと戻るが、狼となっている間人狼には人としての理性が無く……」
「黙って写すことは出来ないのかね?ミスモンキー」
「……あ、すんません」

無意識に口に出ていたらしい。しかし、これが結構面白い。私の中で狼男、吸血鬼、雪男にフランケンシュタインは外せないファンタジー要素だ。水魔よりロマンがある。まあ、多分実際の見た目はアレなんだろうけど。でも人型のまま狼のようになる、ということは熊と似たようなもんなんじゃないのかな。危険だけど、なんでもありの魔法界にしては怯えすぎじゃないか、とも思う。そんな強いのかな、麻酔薬効かないとか。あ、麻酔薬とか考えてる時点で物理攻撃だわ。魔法関係ねえ。

スネイプ先生はひたすら生徒に写させた後、宿題として人狼の見分け方と殺し方を調べてこいと言った。
皆はかなり批判していたけど、実技授業で失敗ばかりだった私からすると座学の方がありがたかったりする。つまり楽しかった。

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