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ラーの鏡を手に入れ、バーバラも仲間にして、夢の世界へと帰る事になった。
廃墟となっているダーマ神殿へとルーラの魔法で移動し、夢と現実の接点となっている井戸へ飛び込む。
たちまち、青白い光に手を伸ばすと空間が歪み、気が付くとダーマ神殿跡地の大穴の前へ到着していた。懐かしい景色である。
実に夢の世界の大地を二か月ぶりに踏んだのだった。
「はー久しぶりだなァ、この空気。俺達が住んでた世界だぜ」
ハッサンが空気をめいいっぱい吸っている。
「ここが夢の世界なんだね。ミレーユから夢と現実っていう世界を説明してもらったけど、いまいちピンとこないや」
バーバラが荷馬車から身を乗り出して風景を眺めている。
「なあ、今日の晩飯なんだ?」と、レック。
「パンとシチューだけど」
「またか。あきちまったよそれ」
「旅しながらなんだから文句言わないの!」
レックとミレーユが話している。
「…ねえ、あの二人っていつもああなの?」
バーバラがハッサンに訊いた。
「まーな。よくある姉弟みたいだよなー。ガキくさいレックと姉のミレーユじゃあデコボコだぜ」
「…そうかなあ。あたしにはそうは見えないけど」
バーバラは鋭く二人を見つめていた。姉弟というよりは…むしろ……
六章 完
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