DQ6 | ナノ
 2-5

「キミと話していると、懐かしい気持ちにさせてくれる。昔、どこかであったような気分にさせてくれるよ。その澄んだ瞳のせいだろうか…他人にはないものを感じるよ」
「瞳…あ、ぼかぁ目はいい方ですよ。両目とも視力は1.5以上はあるんですから」
「ふふ、自分では気づいていないようだな」
 王は目を伏せて曰くありげに微笑む。
「え?」
 レックのあたまにハテナマークが広がった。
「まあ、その幻の大地の事、魔王ムドーの事を含めてすべてはラーの鏡というものを見つければわかるだろう」
「ラーの鏡?」
「私は今まで、魔王ムドーと闘うためにありとあらゆる研究をしてきた。時には魔王ムドーを倒そうと最前線で戦いの指揮を執った事もあった。だが、あと少しで倒せそうだと思うやいなや、突然姿をくらましてしまうのだ。魔王の気配を感じて攻撃を仕掛けようにも、透明な奴の肉体を傷つけることは不可能であった。そこでだ」
 王は机に置かれた大きな古文書を開き、あるページを開く。
「魔王の正体や、見えない奴の体をどうにかすべく調べてみた結果、ラーの鏡の存在を知ったのだ。この古文書にラーの鏡について記されている。みたまえ」

 レックやハッサンが開かれたページを覗きこむ。
 見たことがない古代文字で記されているため、当然ながらレックやハッサンには全く読めない。

「最近になってやっとこの古文書の一部を解読する事に成功した。古文書にはこう記されている。ラーの鏡は真実だけを映す魔力がこもった鏡。一度覗き込むと、人の心や見えない姿を映し出す事はもちろん、忌々しい邪悪な魔力をも解き放つ効力があると…な」
「真実だけを映し出す鏡かぁ」
「すげえなぁ、真実だけってうそはつけないって事か」
 ハッサンはじっとラーの鏡の写真をまじまじと見ている。
「このラーの鏡さえあれば魔王の正体を暴くことが出来、倒すことも可能だろう。レック、ハッサン、ぜひともキミたちでこの鏡を探し出してほしい。一刻も早くだ。他の兵隊達にもラーの鏡の捜査を任命したばかりだ」
「私からも頼む。お前たちを特殊部隊に任命したのは、その洞察力と戦闘力を考慮しての事。兵士になったばかりのお前たちに、突然の旅立ちは荷が重いとは思うが、国王直々の指令。これはレイドック兵士としてはとても名誉な事である。やってくれるな?」
「王様…ソルディ兵士長…ええ、ぼく…探します!」
 レックは頷く。
「最初は兵士になるつもりなんてなかったんですけど、でも旅立つ事が精霊様のおつげなら、ぼくはやります。ぼくにはやらなければいけない何かがあるのなら、それも見つけたいと思います」
 旅先で、いつか必ず自分のなすべきことが見つかるはずだと思った。
「おいおい、俺も忘れんなよ!俺も行きます。レックが暴走しないように見張る役目と、その魔王ムドーってやつと俺も戦いたいんで」
「暴走って、一番暴走しそうなお前が言うなデカブツ!」
「んだとお、この田舎モン!」
「これこれ、陛下の御前でケンカとはみっともない!」
 ソルディが叱りつけると王は愉快そうに笑う。
「ははは、微笑ましくていいじゃないか。いい相棒を持ったようだな、お互いに」
「王様…」
「では行け、レック、ハッサン。旅先でのいい知らせを待っているぞ」
 かくして、ラーの鏡の捜索がはじまったのであった。




 二章 完







prev / next


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -