好きな子ほど意地悪しちゃう

赤ちんの可愛いところ。
背がちっこいから上目遣いにオレを見るところ。まあオレを見下ろすことが出来る人間なんて、そうそういないわけだけど。プライドの高いあの赤ちんが、って思うとなんだかすごく興奮する。
時々ふとした時に、ムッとなって、「頭が高いぞ」って言ってきて、尻餅ついたオレを満足気に見下ろす姿とか、幸せそうで可愛い。
そういう時はオレが赤ちんを甘やかしてる気持ちになるんだ。「赤ちんすごーい」って言ってやれば、赤ちんは嬉しそうに笑う。こういう時の赤ちんって、オレにはただの男の子って感じがするから可愛いんだよね。

まあぶっちゃけ、赤ちんの可愛いところなんて挙げていったらキリがないんだけどね。


「紫原……」
オレの視線に気付いて、赤ちんが顔を上げた。放課後の二人きりの部室での出来事だ。
机を挟んで、赤ちんと向かい合って、オレは赤ちんが部誌にペンを走らせるのをお菓子を齧りながら見ていた。
赤ちんを眺めながら、「やっぱり赤ちん可愛いなぁ」なんて思ってしまったのだ。
真顔でジッと見詰めていたら、赤ちんの頬っぺたが髪の毛の色みたいに赤くなった。
「そんなに見られてしまうとやりづらいな」
「どうして?」
「俺の顔に何かついてるかな?」
赤ちんは本当に卑怯だ。
真っ白のプニプニほっぺ。
美味しそうで、口の中に唾が溢れる。
「……うん。今とってあげるね」
ガタン、と机に手をついて身を乗り出す。
赤ちんの頬っぺたに唇を落として、感触を確かめるように軽く吸ってみる。それから、ぺろりと舐めて味見する。
「ん、くすぐったい……」
赤ちんが顔を背けるから、オレのやりやすいように手を添えて動かないようにしてやる。れろーっと舌を這わせていって、小さい耳にかぷりと噛み付いた。
「や、耳は……嫌だっていつも言って……!」
「んー?」
ついでに反対側の耳を指先でくすぐってやれば、赤ちんは身を捩らせた。
「俺の顔に何かついてるって……取ってあげるって嘘だったのか?」
「嘘じゃないし。赤ちんの顔がお菓子みたいで美味しそうだっただけだし」
「意味がわからない」
あらら。赤ちんそういうこと言っちゃってさ。
「じゃあ赤ちん」
ぱっと赤ちんから体を離す。
きょとんとした顔で、頬を上気させて、赤ちんは得意の上目遣いを向けてくる。
オレの大好きな顔だ。
赤ちんからしたら無意識なんだろうけど、何も知らないですって顔してオレを誘うのだけは上手なんだから。
「オレと赤ちんの気持ちは通じ合ってないってことになるよね」
「え?」
「付き合ってもうしばらく経つのに、赤ちんにはオレの気持ち全然伝わってないんだね」
「……別にそういうわけじゃ」
「まあいいや。せっかく赤ちんが可愛いから、二人きりだし遊ぼうかなーって思ったのに冷めちゃった。ばいばい」
そう言って、カバンを手に取って席を立つ。部室の扉を開けようとして、背中に「とんっ」と何かがぶつかる感触がした。
振り返って見下ろすと、オレにしがみつく赤ちんがひとり。
ぎゅっと服を掴んで、潤んだ目でオレを見る。
「……すまなかった」
「なにが?」
「怒らせてしまって……」
本当にごめん、小さくそう呟いて赤ちんは俯いてしまった。あえて何も言わずに赤ちんを見下ろす。
「俺……、誰かを好きになったのって生まれて初めてだから、どうしたらいいか分からなくて」
声が震えている。こういう時、赤ちんの頭の中はオレでいっぱいなんだと思うと、なんだかとても嬉しくなるんだ。赤ちんの頭の中は今、オレのことしか考えていない。オレのことで一杯だ。オレはそれが、嬉しくて、幸せだ。

「可愛くない、よな……?こんなの……。もっとお前が喜ぶような対応が出来るように努力するから」

あー、もう。なんなのこの人。
どんだけ無自覚なのか、無意識なのか。
我慢できずに振り返ると、赤ちんを力一杯抱き締めた。
オレの腕の中にすっぽりとおさまってしまう小さな体。力を込めると、少しだけ苦しそうに身じろぎする。

「……オレだって、こんなに誰かを好きになったのは赤ちんが生まれて初めてだし」
赤ちんの耳が赤い。
体を離して赤ちんを見詰める。腰を落として目線を合わせて、見詰め合ってから赤ちんの脇の下に手を差し入れると、赤ちんの体を高い高いしてやった。
オレを見下ろせるように。オレのことを支配してくれるように。
(変なの……)
支配されたいなんて思うなんて。たぶんきっと、こんな気持ちにさせてくれるのは赤ちんだけ。

「いじわるなこと言ってごめんね。好きだよ、赤ちん。大好き」
そうして唇を重ねる。
「ん、紫原……」
赤ちんの腕が首に絡まる。

赤ちんの可愛いところ。
ちゅーするのが好きなところ。
赤ちんからオレにちゅーしてくれることはないけれど。オレから切り出せば、すぐに赤ちんはノリノリになる。自ら、ちゅうちゅう吸い付いて、頭を傾けて、深いキスを求めてくる。
カチッと歯がぶつかると、赤ちんは決まって申し訳なさそうな顔をした。
「……赤ちんへたくそ」
「ごめん……」
「もっと上手くなってくれないと、赤ちんとちゅーしてやらないし」
「っ!?そ、そんな……、やだ」
「冗談に決まってるじゃん。本気にしちゃって、赤ちん可愛い〜」
お詫びに、ちゅっちゅっとほっぺにキスしてやる。悔しそうな顔をして、くすぐったそうに顔を背ける赤ちんは最高に可愛い。
オレは赤ちんに支配されたいけれど、同時に赤ちんを支配したいとも思う。こんな気持ちにさせてくれるのはきっと、赤ちんだけなんだから。



「っ、あ……!ん、やぁ……」
イスに座らせた赤ちんの足元に跪いて、股間に顔を埋めて奉仕する。
赤ちんのちっさいそれに片手を添えて、根本から先端に向けて裏筋を舐め上げる。
先端の窪んだところに歯を引っ掛けたり、強く吸ったりする度に、赤ちんの口からはオレしか知らないえっちな声が零れ出る。
「や、や……噛んじゃやだ」
「でも赤ちん、とろとろだよ?気持ちいーんでしょ?」
「ぅ……」
「そういう顔とか声、オレだけのだかんね?」
わかった?、と顔を覗き込んでみると、赤ちんは何も言わずに泣きそうな真っ赤な顔を背けるだけ。
(ほんと赤ちん分かってないなぁ……)
そういうことするから、イケナイ気持ちになっちゃうんじゃん。
「分からないならお仕置きだし」
ぐいっと赤ちんの太ももを掴んで、さらに外側へ開く。恥ずかしいところが丸見えな格好をさせられて、赤ちんは困惑しているようだった。
でもそんな余裕なんて与えてあげない。
太ももの内側の柔らかいところを、ねっとりと舐めてから思い切り噛み付いた。
「ひッ――、イ!?」
逃がさないように強く太ももを掴む。
歯が皮膚に食い込むのが分かった。血の味がした。
「い、いたっ……う、やだぁ……!!」
赤ちんがオレの頭をぐいぐい押してくるから、そろそろ離れよう。
口を離すと、赤ちんの太ももの内側にはオレの所有の痕がしっかりついていた。
「これでもう赤ちんはオレ以外とえっちなことできないね」

じゃあ続きしようか。

痛みのせいで萎えてしまった赤ちんを慰めて、ついでに硬く閉ざした蕾を舌先で抉じ開けて解していく。
赤ちんはすっかり大人しくなっちゃって、オレにされるがまま。
なんだかつまんない。
「赤ちん、おしりこっち向けて」
「…………」
少し躊躇いのある、おずおずとした動きだったけれどこの通り言われるがまま。
それにしても、下半身だけ何も身に付けないで、上は制服をきっちり着てるのってなんでこんなにエロいんだろう。
まあ正確には穿いてないのはズボンとパンツで、靴下と上履きは履いてるから余計エロいのかもね。
イスに手を着いて体を支える赤ちん。
本当にさっきから驚くほどに静かだ。
「挿れるよ?」
「……」
「なんか言ってよ」
何も言わないで、赤ちんは目を伏せて頷くだけだった。
ゆっくりと、傷つけないよう挿入していく。
「っ、ふ……。ぐ、ぅ」
ようやく赤ちんは苦しそうに喉を鳴らした。
「赤ちん」
安心させるために、赤ちんの背中から覆い被さって抱き締める。
おかげで安心したのか、赤ちんが口を開いた。
「あの、むらさきばら……」
「なに?」
「どうして優しくしてくれないんだ……?」
へ?
「痛いことするし、どうしてひどいことばかり言うんだ?俺はお前以外と……こんなことするつもりなんてないのに」

あー、つまりあれか。
赤ちんが他の誰かのものにならないように、太ももに残した歯型。
『これでもう赤ちんはオレ以外とえっちなことできないね』
あの言葉に傷付いてたってことなのかな?

項垂れて、静かに啜り泣く赤ちんの頭は小さい。肩も細いし。ある程度、筋肉はあるけど、オレからしたらちっさくてすぐに壊れちゃいそうだ。
でも赤ちんは男の子だし、頑丈だし、強いし、平気だと思ってたけど。
オレの言葉ひとつひとつを真剣に受け止めて、解釈して、涙を流す。
こんなこと、オレ以外にはしちゃダメだ。
オレだけを見て、オレだけを触って、オレだけを――

「赤ちん……!」
力一杯抱き締めると、繋がりが深くなった。
「ッ、ひゃ……!ぁ、んっ……」
どうやら中のオレがいいところに当たるみたいで、赤ちんは体を震わせた。
「オレは……あかちんは、オレだけのものだって……」
「は、あ……んっ!ぁ、う」
前に手を回して、ポタポタと雫を滴らせる赤ちんをギュッと握り込む。
中がきゅうっと締まって気持ちいい。蕩けそうだ。
「だからダメだよあかちん……オレ以外のものになったら、だめ……!」
「うあっ――、あッ……ふ」
先に達してしまった赤ちんに促されるみたいに、オレも赤ちんの中で果てる。
しばらくは余韻が冷めるまでは、繋がったまま赤ちんを抱き締めていた。やがて、身じろぎをした赤ちんがオレを振り返る。
「……紫原」
ふわり、と。
唇を重ねる。
触れるだけのキス。
なのに、すごく甘い。
どんなお菓子よりも夢中になれるオレだけの特別だ。

「キス……、頑張って上手になるから。嫌いにならないで……」
「っ……!」

ほら、やっぱり甘い。





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