幸太くんの不幸01
VS八木くんと仲間たち
/強制自慰・複数・無理矢理?



沼田幸太17歳、ただいま人生最大のピンチを迎えております。


中学生のとき、当時高校生でアメフト部だった兄の部屋で「男子十二尺棒〜いま始まる恋のマラ騒ぎ〜」というゲイものDVDをみた俺は、三次元ホモの世界に足を踏み入れた。


健全な性生活を送るであろう中学3年間をゲイビデオ模索、汁男優のおっかけに費やし、ついには二次元にも手をだすという完璧な腐男子と化してしまった。

その僕が先日、最近ハマっている汁男優の新作を某巨大掲示板から落としDVDに刷り込んだのだが、今日その肝心のDVDを実習室に忘れて来てしまったのだ。

それだけならまだいい。

いま目の前で繰り広げられている悲劇よりは。




「うぉあ!やば、これどーやって突っ込んでんの?」


「え、素股じゃねぇの?まじで入ってんの?」


「ばっか尻だよ尻、見ろよ」


「うおぉまじだ!てか八木よく見えたな!」



学校内でも有名な不良集団に、がっつり鑑賞されている。


教室に入る前からヤニ臭いと思ったら案の定だよ…!
僕は数十分前からこっそり後ろの扉のそばに隠れ、その様子をうかがっている。
教室内だが、棚が目の前にあるため奴らの死角になっているのだ。


しかし中心にいるのは八木龍治、この学校の不良のボスだ。
一際目立つ赤髪に黒メッシュ、口元には光る銀色のピアス。切れ目の奥の瞳は遠くからでも見たくないくらい怖い。



「つーかこんな変態くせぇもん忘れた奴て誰よ?」


不良のひとりがごちて、僕の心臓がギクリと跳ねる。
思わず扉の前で小さくなった。

やめてくれ、犯人探しだけはやめてくれ…!



「この教室使ってたクラスの誰かだろ、まぁ他のクラスのことなんてわかんねぇけど」


そ、そうなのね…少し安心してホッと息をつく。

だとしたら、あれが誰のものかは分からないはず…
そしたら、「こんなの観る変態もいるもんだなーガッハッハ!」みたいなノリでそのうち飽きて帰ってくれるはず……



「沼田幸太?」


「ぬまた?」


「沼田こーた?」




不良に名前を連呼されている…!



あああパッケージか…
忘れ物しないようにって小さい頃からおばあちゃんの言い付けでなんにでも名前を書く癖がここにきてアダとなってしまった…


いやでも、名前がわかったとしても僕の顔がわからなければどうということは…



「沼田ってあいつだろ、B組の窓側2列目前席の黒ぶちメガネかけた陰気くさいチビ」



恐ろしいくらい身バレしてる…!


八木くんなんでそんなに詳しいの?
不良って学年全員網羅してるの?
陰気くさいチビなんて悪口よりそれのほうが怖い。


「まじかーそんなんいたっけ?」


「いる。成績は中の下で学年76位、ちなみに三人兄弟の末っ子」



八木くん?!


本格的に怖い…不良怖い…




とにかくここから逃げなきゃ、いや、でも逃げたところで名前も顔も知られてるし、きっとあとから呼び出されて「これをバラされたくなかったら金を寄越せもしくは死ね」とか脅しにくるんだどうしようどうすれば


「八木ー、こいつ?」




あっさり見つかった!!



いつの間にか僕の目の前に立ちはだかっている黒髪短髪。八木くんといつも一緒にいる大瀧くんだ…ボクシング部エースの…ああ…


僕はそのまま大瀧くんに首ねっこをつかまれ、無理矢理不良たちの集団の中へ放り投げられた。

ドサリと倒れた先は、八木くんの足元。



「ひ…」


「何、お宝とりにきた?」


八木くんがニヒルに笑う。
つられてまわりの不良どもがどっと笑った。

いっきに冷や汗がでる。



「お前さぁ…いっつもこんなの見てんだ?」



トン、と画面を指で突き、ニヤニヤ顔を歪めながら楽しそうに八木くんが言う。

僕は怖くて体が震えて、う…とか、あ…とかしか声が出ない。


「震えちゃってんよだっせー、八木ーこいつカモれんじゃね?」


「だってバラされたくないもんなぁ?」




下品な笑いが頭上で飛び交う。
実際怖くて震えは止まらなくて、冷や汗もかいている上に胃がキリキリと痛んでいる。

た、助けて…!



「まぁ待てよ」


「っ!」



グイッと胸倉をつかまれ、そのまま八木くんの顔面間近まで引き寄せられる。

鋭い切れ目に睨まれ、背中に冷たいものが走った。




「お前ここでオナれ」





一瞬、教室中がシンとなる。



「………………えっ」




チッと舌打ちをして八木くんは僕を突き飛ばすと、机の上にあるパソコンや機材をぜんぶ乱暴におしのけ、再び椅子に座ってそこを指差した。



「ここに乗って、俺らの前でオナニーしろっつってんだよ変態」



「…っ、」




いやだ、なんて言えるわけもなく、ただただ八木くんを見て震えるしかなかった。


「八木、カモるだけでいんじゃねえの」


「それだけじゃ面白くねぇだろ」

大瀧くんの制止を、八木くんは鼻で笑う。
そしてもう一度僕のほうを睨むと、


「やれ」






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