サスケを授かる話
「フガクさん、イタチくん、居間へ集合してください」

私の号令に、書物を読んでいた二人が何か言いたげな目を向けてきた。よいよい、言わずともわかる。「もう自分たちは居間にいるだろう」と、その目がすべて語っていた。こういうのはノリが大事なのですよ。
そんなやや冷たい視線なんかものともしない私は、とりあえず二人の前に正座をした。

「……なんだ」
「どうしたの、母さん」
「今日は重大発表があります」

赤ちゃん、できました。

イタチがこのお腹に宿った時と同じようなセリフを、今度は二人に伝えた。フガクさんは読んでいた巻物を危うく落としそうになり、イタチはぽかんとした表情で私を見ていた。ふふふ、驚かせる作戦はどうやら大成功のようだ。

「……お前は何故いつもそう唐突なんだ」
「そのほうが面白いと思って」

はあ、と呆れたため息を吐いたフガクさんはどこか嬉しそうだと感じたのはやっぱり長年連れ添った仲だからだろうか。本当、不器用な人。一人くすくすと笑っていると、フガクさんの横でずっと固まっていたイタチが恐る恐る声を出した。

「おれに、兄弟ができるの?」
「そうだよ、イタチに妹か弟ができるんだよ」
「いもうとか、おとうと」

そう呟いたあと、イタチは頬を染めて嬉しそうに笑った。そんな顔を見て私が黙ってるはずもなく、当然のようにイタチを抱きしめて、頭を撫でた。イタチも今日はその抱擁に小さくて可愛らしい手を広げて答えてくれた。
また呆れたフガクさんの顔が視界にちらついたけど、そんなの気にしない。

「イタチは妹と弟、どっちがほしい?」
「……おとうと、かな。いっしょに修行したい」
「ふふっ、そっか」

フガクさんは?男の子と女の子どっちがいい?と聞くと、しばらく沈黙が続いた後ぼそりと呟いた。

「……お前との子なら」

そのあとに続く言葉は容易に想像できて緩む頬をそのままに、イタチを腕に抱きながらフガクさんに寄り添った。

(お前との子なら、どちらでもいい)

それは、私も同じ気持ちだよ。
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