イタチとの日常
我が家に舞い降りた天使は大きな病気をすることなく、すくすくと育ってくれた。夜泣きも少なくて、話で聞いていた子育ての苦労をあまり感じることは無かった。逆に心配になって病院に相談しに行ったぐらいだ。
そんなお利口さんなイタチが生まれて、今年で四年となった。

「おはよう、かあさん」
「おはよ、イタチ」

少し微笑みながらも朝の挨拶をしてくれたイタチ。我が子ながらに出来のいい子で、周りの子と比べると大人っぽい印象を受ける。
もっと「ママーだっこぉ」みたいな具合で甘えて欲しい気持ちもあるのだけど、イタチは大変自立心の強い子に育った。……母親としてちょっと寂しいのはここだけの秘密。

「とおさんはにんむ?」
「うん、そうよ。さあ、イタチくん。天気もいいし、今日は母さんと一緒に散歩でも行かない?」
「……かあさん」
「ん? なあに?」
「おれ、しゅぎょうしたい」

最近、フガクさんがイタチに基本忍術を教え始めたせいか、イタチはすっかり忍術の虜になってしまっている。
お母さんがお散歩デートに誘っているのに気まずそうに修行したいと言ったイタチに少し悲しくなった。母より修行ですか、息子よ。
私があまりにも悲しい顔をしていたのか、途端に慌てだすイタチ。息子に気を使わせるなんて、母親失格だ。気持ちを切り替えるように「よし!」と声を上げながら一つ手を叩いた。

「母さんが修行付き合ってあげる!」
「え、ほんとっ?」
「うん。母さんこう見えて上忍なのよ!」

「お父さんみたいに上手に教えられないと思うけど」と先に宣言すれば「ありがとう」と珍しく笑顔を見せてくれたイタチ。思わず抱きしめてしまったのは、私のせいじゃない。イタチの可愛さが罪なの。

「くるしいよ、かあさん」

そういって顔を赤らめながらも、逃げようとしないイタチに愛しさが溢れ出る。こんな親バカだからフガクさんに呆れられた目で見られるのか。しくしく。でもしょうがないよね。それくらい息子が好きで好きでたまらないんだから!

「イタチ、大好きよ」
「……おれも、かあさんがすき」

…………母さん、ときめきで死にました。
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