私と君の幸せ





昨夜は過激派攘夷浪士が潜伏している宿屋、平間屋に御用改めをした。
過激派と恐れられるだけあって中々の強者揃いだった。一人一人相手するのに体力を要した。
その中、10人もの浪士に集中狙いされた私は右腕を負傷した。
その後は沖田や土方さんが援護してくれてその場は何とかなった。
右腕からは大量の血が止まることなく流れる。
無理に動いて血を流しすぎた私は貧血を起こし、血溜まりに倒れた。



「ハナ!!」



みんな焦りすぎだっつーの。そう思いながら意識を手放した。






――――――






目を開ければ既に朝で、右腕が包帯でぐるぐるに巻かれ、布で吊るされていた。
ああ、生きてたんだ。まあそんなに傷深くなかったもんな。
一先ず安心した後、朝食を摂りに食堂に向かうことにした。
着いたらまず新聞をとって、席についてからカサリと一頁めくった。
あ……もう昨日の真選組の活躍が記事になってるな。改めて昨日の惨劇を思い出しながら記事を読んでみた。
そして私は、驚愕した。




「な、なんじゃこりゃァァァ!!」






新聞の記事にはこう書かれていた。

【――真選組側は死人は出なかったものの負傷者が8名。中でも女隊士が重傷でいまでも生死をさ迷っている模様。助からないかもしれない、と一番隊隊長である沖田が涙ながらに語った。】


……女隊士って私しかいないんですけど。生死さ迷ってないんですけど。
涙ながらにって……沖田ァァァ!!






「ハナ、起きたんですかィ。おはよーこぜえまさァ」

「ちょ、沖田コレェェェェ!!どう言うことよ!!」





新聞を突きつければ沖田はめんどくさそうに記事を読み出した。






「ああ、俺が事実を言っておきやした」

「全然事実じゃないんですけど?片腕負傷しただけですけど?」

「戦闘の後に倒れたのはハナだろ?俺本当に焦っちまって死んだと思っちまったんだよォ」

「棒読みィィィィ!!」





それより、と言って沖田は紙袋を私に突きつけてきた。





「これ、旦那に渡してきてくれ」

「何故に命令形?それに何コレ銀時に贈り物?」

「この前ちいっとばかし旦那の世話になってね。そのお礼の物でさァ」

「あんたも結構義理がたいのね。でも私一応怪我人なんだけど……」

「良いから行ってこい」



クイッと刀の刃を見せた沖田に口元がひきつるのを感じた。
君のドSぶりはさすがだよ、沖田くん。
仕方なく紙袋を受け取った私は食堂を出た。






「おい、ハナ。もう怪我は良いのかよ」

「土方さん。大丈夫。今から沖田くんの御使いしに行ってくるわ」

「ついでにマヨネーズ買ってきてくれ」

「テメーももっと怪我人を労れ」







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