宿題との交換条件

授業終了のチャイムが鳴った。
教室がざわつき始める。
校長先生の現代文は自由すぎてさっぱりだ。黒板はぐちゃぐちゃ。目も痛い。
ああ、次は古典だっけとか考えながら窓から青い空をぼんやり眺めていると、
「リンクーっ」
この学園の腹黒生徒会長、もといマルスが満面の笑みで俺の隣にいた。
こいつがこんなに爽やかな笑顔を俺に向けるなんて、いつぶりだろう。いつもは俺に対してイヤミとかばっかりだから笑顔が新鮮すぎるを通り越してわざとらしい。
「うわ、何その超笑顔」
「そんな引くなよーっキミとボクは親友だろう?」
「はいはいそうでしたね。マルスがそういう笑いする時は大抵何か企んでる時だよな」
「さっすが親友。僕のことはお見通しのようだね!なら説明が省けるよ」

や っ ぱ り な !




宿題との交換条件




ゼルダが副会長なことを盾に、俺を散々こき使いやがって!何が美形生徒会長だ!この腹黒御曹司め!
腹黒っていってもなんだ、別に性格がとても悪いとかそういうのじゃないし、俺自身もそんなに悪い奴だとは思ってない。成績もいいし、生徒会での仕事ぶりも評判がいい。一部の人に対しての扱いがちょっとおかしいだけだ。ただ俺がその「一部の人」であり、面倒な事を押し付けられたり何かに巻き込まれたりする役っていうだけなんだけども。

「おほん!大事な事だからよーく聞いてよ!リンク、次の古典の予習はしてきた?」
「うん。単語の意味とか訳やってくるやつ?」
「完璧に?」
「うん。古典は何故か得意だし」
「じゃぁ話は早いさ。君のノート、この時間だけ貰っていくからね!」
表情が明るくなったと思えば、人差し指を俺に向けて、キメポーズ。借りていい?とかさ、大抵疑問文になるよねこういう状況って。まあ段々慣れたんだけどさ。
「残念。俺も今日当たってるところあるから無理だな」
「ななな、なんだって!?しかし問答無用で貸してくれたまえ!」
「人の話聞いてたのかよ」
ああ、こいつ疲れる。なんで会話が成り立たないんだ。
「リンクくん聞いてくれ、これは重大事件なんだ。今日はシーダとデートがあるからって、朝から浮かれていたんだ」
「ほう」
「そしたらちゃんと予習はしてきたのに、古典のノートを置いてきてしまったんだ!僕は一番面倒くさい訳の部分を当たっていたわけで、ノートがないとさっぱりな訳だ」
「そりゃ災難だな」
「容姿端麗、頭脳明晰な生徒会長で通っている僕が授業中に恥をかくわけにはいかないと思わないか?!」
「おおっ肩掴むな!顔近い!落ち着けよマルス!」
適当に相づちを打っていたら力説されてしまった。気がついたらマルスの顔はさっきよりもかなり近づいていて、肩をつかまれていたことに今気がついた。
何が容姿端麗頭脳明晰だ。自分普通は言わないだろうがこのナルシスト!
「古典のできる君ならこの時間くらいノートはなくても大丈夫だろう?だから貸してもらうよ!」
「まあそうだけど…って待て待て!話勝手に進めるな!俺まだいいって言ってないぞ!」
ああいつものペースにまた持って行かれた。俺のノートを片手に不満そうな腹黒御曹司。どうしてこんな自分勝手なこいつがモテるんだろうってたまに不思議に思う。
「ではいいと言ってもらうまでた!リンク、君はゼルダに想いを寄せているようだな。」
「ま、まあそうだけど…」

そう俺が濁すと、さっきとは変わって何かを企んでいる表情になったマルスの顔が近づいてきて、
「生徒会長の権限で、今日の放課後二人っきりにしてやる。雑用がついてくるけどね。いい交換条件だと思わない?」
こう耳元で囁かれた。
うまい話すぎる。俺を騙すつもりか?と疑った。びっくりしたのは、奴がさっきよりもかなり真剣な表情をしていることだった。
だがしかし、こいつが一度も約束を破ったことがないことと、最近ゼルダとゆっくり話すことがなかったことですぐに結論は出た。(彼女は最近塾に行き始めたらしい。)
意外とそういうところはしっかりしてる奴だ。この男は。人の期待を裏切らないし、。
あ、それがこいつの魅力かもとか思ったりしたが今は深く考えるのは止めよう。

俺は勢いよく立ち上がると、椅子がガタンと音を立てた。
「マルス、」
「うん?」
「その話乗った!」
「やった!交渉成立だね!」
教室の角でハイタッチ。ばちん、という音にクラスメイトの視線が少し集まった。それから自分でもビックリするくらい、俺は笑顔だったと思う。





end.
・・・・・・・・・・・・・・・
あとがき!

初学パロでした!
マルスはリンクの悪友ってことと、それでも実はそんなに仲悪くないってことと、リンクの単純さ(笑)を書きたかったのです。
ゼルダを話に出すとすぐ釣られる勇者はいいと思いませんか。時オカリンクよりもトワプリリンクの方が、感情的になる場面が多かったりすると良いと思います。ちなみにこれはトワプリリンクです。

Thanks!
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09.3.2 執筆・推敲



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