料理得意じゃないって言ったくせになんやかんやおいしいごはん作っちゃう

「キャンディーもチョコも美味しいけどたまには違うのも食べたくなるよね」
 悲しそうにため息を付きながら奏良は柚子の方を見た。
「何?私今お菓子なんて持ってないわよ?」
 急に何を…と奏良の方を見ると、子犬のような目をした奏良に見つめ返され柚子はたじろいだ。
「違うよーたまにはコンビニに売ってるようなお菓子じゃなくて手作りの、柚子が作ってくれたのが食べたいなって思ってさー」
「何言ってるの。それに甘いものばっかり食べてると体に悪いわよ?」
「じゃあ体にいいお菓子作ってよ」
 ねーねーと柚子の周りをくるくると回ると回り始めた。まあいつもお世話になってるしお礼も兼ねて、と家に何があったか考えながら尋ねた。
「食べられないものとかある?」
「え!?無いよ!作ってくれるの?やったー!」
 嬉しそうに飛び跳ねる姿を見てつられて笑顔になった柚子は頭の中で何を作るか考えていると素良の姿を見失ってしまった。
「素良…?」
 辺りを見回しても見つからない。相変わらず自由なんだから、そうため息を付くとカバンにメモが挟まれているのに気付いた。
「何これ…?」
 いつの間に、そう思いながら広げるとそこにはお菓子のリクエストが綴られていた。
「もう奏良ったら…!」
 元気の無さそうな様子も芝居だったと気付いた柚子はまんまと騙された自分に腹が立ったものの、嬉しそうな様子も芝居だったとは思えずどんな顔をして食べてくれるのか楽しみで早く食べてもらいたい、と気がはやった。
「柚子ってどんなお菓子よりも甘いよね」
「素良!?」
「柚子のそんな甘いとこ僕どんなお菓子よりも好きだよ?」
 照れ隠しにハリセンで突っ込もうとしたもののかわされバランスを崩した柚子を支えながら奏良は甘い声で囁いた。


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