そこには、少女と同じ、逆十字の刻印。

「少し薄いけど、やっぱり"呪い"は付いてるね」

同情するような少女の表情。

それを見た少年の顔がカッと赤くなり、瞳も険しくなる。

パァン、と渇いた音がした。


「……」


少女の手の甲に細い線が薄く引かれ、血の球が線上にいくつもできた。

それに気にすることなく、むしろ愉快そうに少女は傷口を舐める。

「…嫌でも…、
あなたは"道連れ"されないように、私を生かさないといけない」

勝ち誇ったように少女が笑う。

「私の血は、私が絶命したら有毒になる。…もちろん、あなたの中に流れてるのもね」

だが少年は、


「黙れ、クソ女」


冷たく言い放った。

「テメェの身はテメェで守れ。ンなもン、脅しにもなンねェよ」

「脅しじゃない、事実よ」

「知るか」

少女の言葉を少年が一蹴する様子がしばらく続く。

そんな二人の頭上から、突然声が降りかかってきた。




「…痴話喧嘩なんて焼けるねぇ」
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