「馬鹿か?テメェは。俺が協力すると思ってンのかァ?」
少年が鋭い牙を剥き出しにして嗤う。
しかしそれも、少女の、
「うん、…思ってるよ」
という短い返答でピタリと止まる。
「…テメェ…ッ」
短剣を握る手に力が込もり、少女の喉元から薄く血が流れる。
「でも、今私が死ねば、あなたが狙ってる私の能力は奪えない。だから、協力して。…そうしたら、」
そこで、言葉を一旦止め、少女は、短剣を掴む少年の腕を下げる。
「"最強の能力"をあげるから」
少年は紡がれる言葉を聞きながら、冷静さを見せていたが、体が微かに震えていた。
少女は、クスリ、と笑うと、少年の首元の白髪をどけた。
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