フルーツタルト

「ねーえ我妻くん、あれほしいな」

真っ白な肌の女の子が、そのふわふわな髪を揺らして振り返る。
可愛い可愛い、俺の彼女、瑠璃ちゃん。
膝下まで丈がある花柄のスカートはふわっと膨らんでいて、彼女が歩くたびにひらひら揺れる。

「ん?どーれ?」
「あのタルトが食べたいの」

さっきのお店では欲しそうに見つめていたバッグを買ってあげて、そっちのお店では、何色が似合うかなあ?と聞かれて黄色い靴を選んで買ってあげて、両手に紙袋を持った俺に、そのまん丸な目をキラキラさせながら向ける彼女。
綺麗なネイルが施された人差し指は、ショーケースに並んだ色とりどりのフルーツタルトに向けられている。
 
「いいよ〜、買ってあげる」
「えへへ、ありがとう我妻くん」

ぱっと花が咲いたような笑顔を浮かべて、俺の腕に抱き付いてくる彼女からは、甘くて柔らかい女の子らしい香りがする。
彼女のわがままが可愛くて、願いを叶えた時のこの笑顔が見たくて、俺はこの子を甘やかすのをやめられない。


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