進撃 流星夢主が進撃にトリップ



世界は残酷だった。

自分よりも遥か大きい巨人を目前にして呆然とする夢主。確かに自分の人生はごたついていて優柔不断だった。真理君に世界から弾き出されて家族を殺されて家族から離されて、ホムンクルス共と殺しあって。些細な幸せはあったけれど、人一倍の不幸しかなかった。でもやっとのことで元の世界に帰れると思ったのに――何なんだこのザマは!と夢主。真面目に嘆く。

巨人に捕まれそうになったところを透かさず地に手をついて岩の盾を錬成して回避しようとするが、呆気なく盾は巨人の怪力によって崩れ去る。いくらホムンクルスと敵対した過去があるからって巨人とも敵対しなければならない道理なんてないだろと思いつつ、できる限り高くて高くて巨人よりも高過ぎる塔を錬成し、回避する。

登ってこない巨人に安堵しつつ、ぐちゃぐちゃな思考で現状を把握。元の世界に帰れず別の世界に再度弾き出されたらしい。くっそしかもさっきのアホ面したでっかい全裸の巨人が出るような物語なんて一つしか思い付かないし浮かばない。


「オッケー、とりあえず誰かヘルプミー!!」


叫べど誰も助けてくれはしない。何故なら夢主が放り出された場所は巨人に脅かされる世界であり、人類が縮こまって隠れ住む壁の中ではなかったから。

一応何となく察したくはないけど理解せざるを得ない現状を嫌々ながらも理解しちゃっている夢主は壁外であると分かっている。分かりたくないけど分かっている。以前兄貴が世界一の幸福が云々とか言い触らしてはいたけれど、この世界においてその効果は無効となる。

よって夢主、人並みに月並みの運を保持することに。

「なんかあれだなあ。あっちの世界で一生分の幸せを使い果たしちゃったのかな。それとも次元という名の世界を渡るための代価に幸福そのものを支払ったのかなあ……」答えは考えても考えても分からない。結局推測や推論しか浮かばない。

錬金術を使える夢主はなかなかハードなサバイバル生活をすることになる。

昼間は錬成した塔の上で生活(たまに巨人を捕縛しようとしては失敗し、死闘しては生き延びる)。夜間は巨人の居ぬ間に食料や飲料を確保し塔に持ち帰る。最早野生化。

巨人を捕縛しようとするのは、巨人を代価に真理の扉を抉じ開けようと考えているから。けれど月並みの運に降下したため捕縛はできず、結局失敗。でも巨人の弱点を知っているため何とか生還。だからって無傷じゃないよ。打撲は日常茶飯事、骨折は頻度高めに負っている。

骨折したら流石に動けなくって塔で蠢く(養生)。

そして調査兵団という名の巨人狩り集団に塔を見付かり遭遇。因みにこれエレン達104期生が訓練兵団に入団する前ね。

『巨人で溢れる壁外で孤立する塔に一人で住む女』を怪しむ調査兵団。主に我等が兵士長。そりゃあ塔が存在する場所は一応ウォール・マリアだからだよ。現存するウォール・マリアの地図には夢主が住む塔なんか載ってなかったんだよ。だって錬金術の産物なんだもの!

進撃の世界において夢主はその存在を証明するものを持ち合わせていないため、下手に出身地は言えない。だったらいっそのこと、シガンシナ区の生き残りだけど家族も友達も隣人も覚えてないし、どうやって生き残ったのかも分からないですって設定にしちゃおう。夢主錯乱設定。

あとついでに夢主がでっちあげた塔については『そこに在ったから住み着いた』で通すことに。即ち錬金術師であることと錬金術の存在は秘匿する。じゃないとエレンみたいに敵扱いされちゃうからね!

という感じで被害者面をするも、壁外で孤立した生活を送っていた人間を一般人のまま野放しにする調査兵団ではなく。


「てめえ、女にしてはなかなか根性があるじゃねえか」

「男女差別よくないですよ。そんなだから貴方はまるで赤い金髪のお豆さん略して赤豆なんです分かりますか」

「何言ってんのか分からねえが、俺を侮辱してることはよく分かった。仕方ねえな。お前のその身の程を弁えない浅慮さを俺が直々に躾てやる」

「躾?躾え?はあ?何このチビ(赤豆)、犬や猫じゃなく人間に躾とかほざいてんの?抜かすなよチビ(赤豆)」


チビを赤豆って読んでね☆

ということで始まる兵長による躾(という名の実は調査兵団の兵にするための訓練)が開始されるのだが、夢主はホムンクルスと生きるか死ぬかの戦いをした経験があるため体術を心得ている。それに巨人を捕縛しようと頑張っちゃったりもしたために、筋肉は勿論のこと持久力もついている。

だから兵長に躾されるまでもなく――と言いたいところだけど馬術だの立体起動だのの知識がないため後々訓練兵団に入団。

エレン達と友人になりつつ兵長とらぶらぶに近付いていくお話に発展すればめっさ美味しい。

でもって兵長と大喧嘩した暁には、ウォール・ローズ中に兵長の等身大石像をいっぱい錬成してやるつもり。身長が低い兵長へのいじめ。



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