※Song by URBANGARDE
《都会のアリス》

「……愛と恋の違いについて…?」
「おう。」
「なんでまた、そんな話を私に?」
「ウィンリィと喧嘩して『私のことどう思ってんのよ!』ってキレられた。」
「…研究に没頭しすぎたか?」
「……なんでわかんだよ…」
「…ウィンリィ嬢の気持ちが少しだけわかるぞ………錬金術バカは面倒なんだ。」
 長机を挟んだ向こう側でエドワードは吠えた。血の気の多い旦那を持つウィンリィ嬢に同情を覚えつつ、至極真面目な面持ちで愛と恋の違いを問うてきた元国家錬金術師の心中も察する。
 そういうのはマスタングの専門では、と、喉まで出かかった言葉を慌てて飲み込む。喩えるならエドワードは検算をしたいだけで、聞いたこともない定理について講義をされたいわけではないのだ。
「哲学的な話ならいくらでもしてやれるが、そうではないだろうしな。」
 若者の人生相談には親身になってやりたい気持ち半分、早く仕事に戻りたい気持ち半分。急ぎの案件はないとは言えど、中将にまで上り詰めてしまうと薄っぺらい責任が山のように積み上がっている。神経質そうに未処理の書類を数える部下を思い出して、答えをひねり出す。
「相手に困らされるのが恋で、相手を困らせてるのが愛だな。」
「………」
「せっかく答えてやったんだ、何か言ったらどうだ。」
「なんか…身に覚えありすぎて……あー………」
 頭を抱えて顔を赤くしたり青くしたりと、いつも以上に忙しない。この様子じゃ、売り言葉に買い言葉な喧嘩で、大した原因ではなかったのだろう。リゼンブールで喧嘩して、私に相談するために中央にやってくるほど暇ではないだろうから、夫婦でこちらに来ているのであろうことも想像が付く。
「感情に整理が付いたのなら、とっとと帰ってくれ鋼の。割と、切実に。」



「さて、話が終わったのなら、この申請書全てにサインをお願いしますよ中将。」
「おや、居たのかキンブリー。」
「あぁ、態とらしい。私はずっとここで貴女の代わりに仕事をしていたではありませんか。」
「そうだったか。声がしなかったので、外出中かと。」
「相変わらず、貴女からの愛は当たりが強いですね。」
「ふん、アレを聞いていたなら話は早いな。」
愛してるなんて嘘です

back

top

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -