はっきり言って近頃の並盛はうるさい。

なにがと聞かれたら全てが、と私は言う。
並盛町で喧嘩が起きてるのかしらないけどすごく迷惑。
爆発やら針が壁に刺さったりとろくなことがない。
ましてや私の通う並盛中学、略して並中もうるさい。
銃声やら爆発、飛び降り自殺、一体なんだっていうのよ。
うるさい、うるさい、うるさいことばかり。
先日なんて図書室の本が少し焦げてた。
みんな気にしてないみたいだけど、私には全部焦げているのがしっかり見える。
この学校が変わってるのは知っているけど、おかしすぎじゃない?
まったく、兄はなにをしているの。

学校では関わらないでと念を押しているから周りから兄と兄妹なんてばれてはいないけど、さすがに取り締まってほしいと願ってしまう。


−−ドオォオォォン

「………」

−−ガキィィィン

「……」

−−きょおぉくげえぇえぇん

「…」

−−パアァアァアァン

「(ブチッ)」


うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさーーっい!!!
私は静かが好きなの!第一今まで静かだった並中がなんで急にうるさくなるの!?
もう、我慢できない。

諸悪の根源を咬み殺す!


********


ツナside

今日も今日とてリボーンの無理難題な試練をしていた。
それに今回はいつもより酷くてお兄さんと雲雀さんまで参戦。
絶対にボコボコ決定だーーっ!!
必死に逃げながら後ろを振り向けば、獄寺君本気ーーっ!?山本すっげー楽しそうーーっ!?
なんなんだよこの地獄絵図…!
ありえないなんて思っていれば1番目が合いたくない雲雀さんと目が合った。
ひぃいぃ…!


「君は戦わないのかい沢田 綱吉?」

「いや、オレは…」

「僕、今なら手が空いてるから相手になってあげるよ」

「んなーーっ!?」

「咬み殺す!」


目が殺す気です、なんて言っている状態でオレを追いかけ回す雲雀さん。
明らかにオレ、死ぬって!
普段いろいろとリボーンのスパルタに耐えてきたけど今回が一番きつい。
だれかこの理不尽な雲雀さんを止めれる人いないの!?
リボーンは絶対に助けてくれないし、獄寺君と山本はお兄さんに集中しちゃってるし…ひぃいぃ!絶対にオレピンチだよ!
獄寺君と山本には悪いけど一足先に教室戻ろう。
そう思いながら屋上のドアに手をかけた。
いや、−−かけようとしたんだ。

逆に開いてオレの顔面にドアが当たったけど。


−−バンッ!

「い゛っ!」
「ん?」


思いっ切り顔面を強打してジンジンと痛む顔。
いってーなんて口に出しながら前を向けば一瞬で時が止まった。
さらさらと靡くセミロングの黒髪に同じ色の宝石みたいなちょっと吊り目の瞳。
仄かに香るシャンプーの匂いはすごく優しい。
京子ちゃんが可愛いなら目の前の女の子は綺麗。
あまりに綺麗で言葉を失うし、顔の痛みもなくなっている。
あまりにも女の子を見すぎていたのかいつの間にか女の子がオレを見ていた。


「…ごめんなさい」

「あ、いいよ!オレこそ気がつかなかったし!」

「そう。……あっ」

「へ?」

「沢田 綱吉。なに僕の妹をナンパしてるんだい?」

「え、妹…?」

「兄さん…」

「兄さん、って…え、兄妹ぃいぃいぃ!!??」

「失礼だよ。どうみたって兄妹じゃないか」


ムッと不機嫌オーラ全開の雲雀さんを見て血の気が引いた。
確かに女の子と雲雀さんって黒髪、黒目で、雰囲気もなんとなく似てるし、二人とも美人だけど…雲雀さんに妹が居たなんて想像つかねーーっ!!
ましてや大和撫子っぽい女の子と雲雀さんが兄妹なんて考えつかないし…なにより女の子は一般常識ありそうだし…、うん少し似てないよね。


「どうしたんだい紫媛、こんな所まで。あ、もしかして風紀委員に入りたいのかい?」

「違うから兄さん。それより兄さんこそ何してるの?」

「ああ、草食動物を咬み殺しにね」

「草食動物…後ろはわかるけど、この人草食動物っていうより小動物じゃない。弱い者虐めだよ兄さん」

「え…」


この人って指を指されたときそれはオレに向かっていて…え、オレ小動物?
そんな疑問を抱きながら女の子と雲雀さんを見比べれば誰でもわかるくらいに雲雀さんの顔が不機嫌だった。
しかもオレを思いっ切り睨んでいて…って、もしかして雲雀さん…シスコン…?
不確かな疑問を抱きながらも直ぐさま否定をする。
いやいや、雲雀さんに限ってそれはないよ!
なんたって群れを嫌ってるんだから。


「沢田 綱吉は小動物じゃないよ。どっちかって言ったら肉食動物」

「わけわからないこと言わないで。とりあえずやっと原因がわかった」


雰囲気がさっきまでとがらりと変わった女の子。不思議に思い顔を見れば、あれ…雲雀さんがキレたときみたいに目が細く殺気立ってる…!
ひぃいぃ!まさか…!


「近頃うるさくて静かな時がないの…」

「紫媛、落ち着いて…」

「私は静かが好きなのに…それを壊す人は例え兄さんでも許さない。全員−−咬み殺す!」


いつの間にか出していたトンファーを構えながら雲雀さんを殴る女の子。
それでも終わらなくて、次は獄寺君たちの方へと向かってしまった。
−−わずか3分でみんな床にキスをしている状態。

なぜかオレは攻撃されなくて、聞いたら小動物は虐めない主義だと言われた。
ははっ…厄介ごとが増えたーーっ!




(ああ、平穏はいつくるんだよーーっ!?)






20100922


[*prev] [next#]
[mokuji]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -