答えの隣
 




しん、とした教室。


席替えをしてからというもの、授業がすごく静かになった。


私の隣には皆見晴澄。
皆見くんは私の彼氏だ。


まさか彼氏と席が隣になるなんて、嬉しいとは思うけど、毎時間変に緊張してしまう。






…数学の時間。


私は先生の言っていることに目を細めて授業を受ける。

全くわからない。



「千晴ー、またわからないのかー?」


顔に出ていただろうか。

先生にそう言われ、私は困ったように笑って見せた。


「皆見、教えてやれ」


先生の言葉に、クラス全員がからかいの眼差しを向ける。

皆見くんはそれに気づいてか気づいていないのか、椅子を私に近づけて私のノートを覗き込んだ。


「千晴はほんと数学できないな」


皆見くんはそう言いながら私の教科書をパラパラとめくる。

先生はそんな皆見くんと私を横目で見ながら、少し止まってしまっていた授業を再開させた。


「この公式を使うんだよ」


皆見くんは教科書に指をさす。



「あ、…なるほど」


皆見くんに言われた通り公式に数字を当てはめてノートに書いてみせた。

そしたら皆見くんは、


「あーーー……違う違う」


と言いながら消しゴムで今私が書いたものを消す。

すると皆見くんは貸してとだけ言って、私の握っていたシャーペンを取り、スラスラとノートに文字を書いた。


「ここ2乗って書いてあるだろ?だから…」


…説明しながら書く皆見くんの横顔を、じっと見つめた。

少しいつもより距離が近いだけで、ドキドキする。


「千晴」


ボーッとしていたら、皆見くんに名前を呼ばれハッとした。

いけない、説明を聞いていなかった。


「答えはこうだよ。わかったのか?」


少し笑いながら言う皆見くんは、ノートを指さした。


「あ、ありが……」


ノートに視線を向けると、答えの隣に小さく何か書かれているものを見つけた。


〈好きだよ〉


そうはっきり書いていたのだ。


バッと皆見くんを見てみれば、

皆見くんは知らん顔して椅子を元の位置に戻し、何事もなかったかのように先生の話を聞く。


私だけ顔を赤くして、先生の話も聞けなかった。






















≪END≫
ノート提出の時、ヒロインちゃんはこの皆見くんからのメッセージを消してしまうのでしょうか…なんて思いながら書いてましたwww









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