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あったかいですよ




風が吹く度に首筋からぶるりと震える。
そうすると反射的に寒いという言葉が出てくるのは仕方がない。
寒い寒いを連呼して、いい加減隣を歩く後輩に呆れられたころ。

「ちょっと待っとってください」

と何処かに行ってしまった財前は、あったかい善哉を二つ持って帰ってきた。

「はい」

そのうち一つをありがたく受け取る。
買ったばかりのぜんざいは冷えた指先には熱いくらいだ。

「あっつ」
「大丈夫ですか」
「おん」
「あの」
「ん?」
「…俺の手、丁度いいですよ」

そろそろと差し出されたのは先程までこのおしるこが握られていた手。
視線を少し下に外して、頬も心なしか赤くして。

「ほんまや」
「でしょ、ざんざいであったまったんすわ」
「ぜんざいに感謝せなアカンな」
「ほんまっすね」

寒いとぼそり呟いて、口元までマフラーを押し上げた。



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11月更新の拍手御礼文。
関西の方ではおしるこのことを善哉と呼ぶと聞きましたので、少し修正いたしました。
ホットの善哉はあるんですか?
もし間違っていたらごめんなさい。



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