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あついて




本土には数えるくらいしか行ったことがないから、久しぶりに帰ってきた綱海がこっちは寒くなくていいな、なんて発言にはいまいちピンとこない。
それでも天気予報をよく見ていると確かに本土の気温がこことはまったく違うことくらいは分かったし、実感がわかなくても一応理解は出来た。

「よっ」

部活終わり、部長であるオレは部誌や鍵のためにいつも帰るのは遅い。
最近は特に。皆代表に選ばれた綱海の話を聴きたいものだから、練習だってなかなかはかどらずに結局遅くなる。
今日も一人で雑務をこなし帰ろうとしていた所。
校門の影に綱海が居た。

「まだ居たの」

部室で綱海を囲んでわいわい騒ぐ池宮城たちと一緒に帰らせたはず。
まだまだ話を聴き足りないといった様子のあいつらのことだから、綱海も一緒に寄り道でもしているのかと思ったのに、意外にも綱海は一人だった。

「おう」
「帰ったのかと思った。皆はどうしたの」
「帰った」
「そう」
「ん」

と、短い言葉と同時に出された左手は、何かを掴み損ねたように小さくこちらに向けられていた。

「寒くないか」

その左手をどうしたらいいのか、綱海のほうもその左手の扱いに困ったようで、呟くように小さな声で紡がれた言葉には左手以上に処理に困った。
寒くないか、なんて、半袖で十分なくらいの気温なのに。
左手と綱海の顔を交互に見つめてどうしようか迷っていたら、ぐいと右手を掴まれた。
綱海の手はとても熱い。

「あったかいね」
「そうだろ」




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11月更新の拍手御礼文



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