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▼  T-1

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ふわふわと漂うような感覚。
夢うつつ
覚醒する一秒前といった緩ゆるとした睡眠に身を委ねていると、ふいにふわりと浮き上がるようなゆっくりと落ちるような不思議な感覚がした。

ふわふわ、ふわふわ。
ふわふわ、ほよん。

のろのろと落ちていく身体はまるでふかふかの雲の上を滑ってるみたいで、ほこほこと気持ちいい。

ほよほよん。
身体が僅かに跳ねて、降下が止まった。
背中に感じるのは少し固いもふもふ。
雲に乗ったのかなぁ。
ぼんやりとまだまだ睡眠の中にある意識でそんなことを考えた。
とにかくここはあったかくて、もふもふで、眠気を誘う。
二度寝しちゃおう。
本格的に全身の力を抜いこうとした時、顔の前に影が出来た。

んぅ?
うっすらと目を開けると、目の前に林檎があった。
ご丁寧にウサ耳まである林檎だった。
ウサぴょん林檎は、ちょうど口の前にあった。
ちょっと口を開ければ、パクリとかじりつけるほど近かった。

カジッ

「うお、なんだお前!」

朝目が覚めると、目の前に林檎があったからかじった。
それはごく自然な流れに違いなくて「ま、不味い」まさかこの世にこれほど不味い林檎があるなんて思いもしなかったし、驚いて目を見開いた先にいかついリーゼントのお兄さんがいるなんてことも、想像もしてなかった。

「だれ?」
「や、お前が誰だよ」

寝起きの頭はまだまだぼんやり。
私がこてんと首を傾げると、目の前のお兄さんはびっくりしましたという顔をあっという間に仕舞って、おかしそうに笑いながら私の真似をするみたいに「ん?」こてんと首を傾げてみせた。

「私ね、アンだよ」
「俺ァサッチ。で、ここ海賊船だけど、アンちゃんなんの用事?」

「かいぞく?」
「海賊」
「海賊ぅ!?」

びっくりした。

「なんで?私ちゃんと自分の部屋で寝たよ?」

びっくりついでに回りをキョロキョロしてみると、全然知らない場所だった。
言われてみれば地面もゆらゆら揺れてるような気もして、私の頭はこんがらがって、くるくると目が回った。
頭を抱えようとしたら、頭から動物みたいなもふもふが二本生えていて、まわりの音がいつもの数倍よく聞こえた。

「み、みみみっ」
「ちょっと待て、落ち着こうな。なんか知んねぇけど、とにかく涙目のうさちゃんは色々ヤベェ」


【こういうトリップはアリですか】

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