9日







「十代くんなんて大っきらい!いっつも舞姫のしたいようにさせてくれないし!!舞姫のせいで皆に迷惑掛けてるのも知ってるんだから!!もうこんなの嫌!!十代くんとは縁切るっ」

「舞姫!!ちょ、待ってくれ!!」



オレはただ舞姫が可愛くて、愛しくて。護ってやりたくて。だから今までいろんなことにストップをかけたり、危ないことは初めからやらせなかった。

ただ、それは舞姫のことが好きだからしていたんであって、決して憎くてしていたわけじゃないんだ。
















「ってな夢を見たんだ」

「夢かよ。夢オチか?」

「いや、夢って結構重要だと思うんだよ」


珍しく学食で昼食をヨハンと取っていたオレは、今朝見た夢の内容を話した。

ちなみに舞姫は今、昼休み限定のイチゴマシュマロパフェをゲットしにカウンターの前に出来た長蛇の列に紛れている。いつもなら列を無視して舞姫のために取ってきてやるのだが、今回はどうも舞姫が並んでみたいというのでそうさせてやることにしたのだ。


「で、何?気にしちゃってんの、十代?」

「しちゃってんだよ、ヨハン」

「へー」


オレって結構舞姫に対して過保護だと思う。何もかも。確かに誰もが常軌を逸してると言っていた。(もちろんわかっててやってるつもりだ)だが、舞姫本人に言われなければやめるつもりはなかった。

そんなオレにダイレクトアタックをかましてきたのは夢の中の舞姫で。

悩み出したら止まらない性格のオレは頭を抱えてしまう。


「気にしすぎなんじゃね?」

「これが気にしないでいられますかってんだよ。いくら夢の中の舞姫でもさ……やっぱ、現実でも思ってるかもって考えると」

「じゃあ、離れてみれば?」

「離れる……?オレが、舞姫から?」

「一度くらいしてみてもいいんじゃないか?」

「んー…そう、だな」


ぼんやりと生返事を返し、肘をついて頬杖をつく。

あ、舞姫のやつ列の中からはじき出された。そうだよな。身体ちっちゃいし、あんな列の中に居るのって難しいよな。でかいのは胸だけだし。

つかお前ら、舞姫を列からはじき出すとはいい度胸だな。

列に向かって視線を送ってやると、並んでいた生徒達が青い顔をしながら横にぺたんと座っている舞姫を列に戻そうとする。だが、舞姫はそんな生徒の好意に、にぱっと笑うと首を振ってまた最後尾に並んで行った。


「舞姫……」

「何やってんだ?舞姫のやつ」


オレは立ち上がると舞姫の方まで歩く。あぁもう、何やってんだよオレ。わかってただろ。舞姫一人じゃ何にも出来ないんだって。可愛い子ほど旅をさせろとか何とか言うがそんなもん知ったことか。

むしろオレに舞姫が必要なんだ。舞姫が傍に居ないと落ち着かないし、なんだか心が渇くし。いいことなんて一つもない。


「十代くん?」

「舞姫。オレも一緒に食べたくなった。一緒に並ぼうぜ」

「うんっ」


そう言えば嬉しそうな、天使の笑顔。あぁそうだ。オレはこの笑顔が好きで、いつも一番近くで見ていたいから舞姫から離れたくないんだ。

何もかも、気にしすぎだったんだ。

離れる必要なんて無いんだ。





1月9日気にしすぎじゃない?

十代が一緒に並ぶと急に列がなくなったのはまた別の話。









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