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- ナノ -
レギュラスへ。

すこし出かけてきます。
朝には戻るね。
心配しないで。


名前さんの置き手紙。
これは彼女の遺書でもある。
あれは、なんの変哲もない朝。
窓の外では雪がしんしんと
降っていて、はーっと息を漏らすと
それは白く消えていく。こんな日は
随分と憂鬱になる。冬休みで、
ホグワーツにはほぼ誰もいない。
スリザリンはしんとしていた。
こんな時に名前さんがいると
また違うだろうな。と考えると
胸がぽかぽかとしてきた。
そういえば、いつもなら、
この時間にはもうスリザリンの
広間におりてきて、ご飯いこー!と
誘ってくるのに。まだ
寝ているのかな?と考え、
本を開く。もうどのくらいたつだろうか。
時計を見ると短針が12をさしていた。
あまりにも遅い。心配になり
女子寮を目指す。ここにくるのは、
違った意味でドキドキする。
ノックをし、名前を呼ぶが
出てくる気配はない。
ため息をつき、うなだれる。
ふと下を見るとなにかの
羊皮紙が挟まっている。
そっとそれを持ち上げると、
「アパレシウム」と唱える。
やはり、透明インク…

レギュラスへ。

すこし出かけてきます。
朝には戻るね。
心配しないで。

朝って今日の朝だろうか。
明日の朝だろうか。
それとも昨日の朝だろうか。
わからない。
羊皮紙をぎゅっと握りしめると
踵をかえす。
ホグワーツのありとあらゆるところを
駆け足で探す。
ここにもいない。なぜだ。
結局1日中探していたけど、
名前さんはいなかった。

「レギュラス」

ふりかえると、そこには誰もいなかった。
ただ、床が揺濡れているだけ。
名前さん?いるんですか?
その質問に返事は帰ってこなかった。

朝、起こされて起きると、
スネイプ先輩の顔が真っ青だった。
こんな顔もするんだ。とおもい
どうしたんですか?と、聞く。
名前、が。
名前という名前に
胸ががあつくなる。
名前さんがどうしたんです?
スネイプ先輩は重い口調で
こういったんだ。


名前が死んだ。


そう、ですか。
彼女はどんな死に方でした?


…なか、ないんだな。

ええ。泣いていても
どうしようもないことですから。

名前は、
湖で、死んでたそうだ。
詳しくはしらぬが、
恐らく死因は
溺死、だろうな。

そうなんですか。
それはわざわざありがとう
ございます。

これを、お前に


なんですか?それは。

名前が握っていたものだ。
もう、握りしめて
枯れそうになってはいるが。

ええ、わかりました。
ありがとうございます。

それでは、僕はこれで。

先輩、ほんとに、
ありがとうございました。

掌には萎れた1輪の花。
その花はリンドウ。

ははっ、馬鹿だな。
名前さん、は。
死んだら僕を見れないじゃないか。
涙がこぼれそうなのをガマンし、
リンドウを一輪指しに生ける。


リンドウの花言葉は
悲しんでるあなたが見たいの。

20150831