×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -



未タイトル




「苗字名前!」

ローブの裾をふわふわとさせながら私はゆっくりと上段に立った。ぎしっと椅子に腰をかけると古めかしい帽子が頭に乗ってきた。とても長い時間帽子は長考していたようで、生徒たちがざわざわと騒ぎ立てる。

「……むむ、ハッフルパフ」

静かに間違ったかのように帽子はぽつりと言葉した。ハッフルパフからは特に拍手は起きず、私は言われるがままハッフルパフの席に座った。監督生と言われる人にただついて行くだけのとてつもなく暇な時間がようやく終わろうとしていた。私を含め寮のルームメイトは4人だった。けれど、3人はぎこちなく笑うだけで特に自己紹介すらなかった。原因は分かってる。監督生に付いてくために大広間から出る時「あんなに考え込んでいる帽子は見たことがない。しかも自信なさそうだったし。あいつどこの寮も適してないんじゃないか?」と私に聞こえるかのように生徒に話していた。それを勿論同じ寮の同じ学年の生徒も必然的に耳に入るわけでそれから噂話の餌だった。別にいい。1人は慣れているし、ただ7年間我慢すればいいだけの話だ。特別困ることなんて何一つない。私は大人しく居心地の悪い狭いベッドに入り目を瞑った。明日はいい日になりますようにと。

***


合同授業とはすごく面倒だなと思った。だってまた皆が私をジロジロ見ながらこそこそと話をしている。私の隣は誰もすわらずぽっかりと空いている。気にしないように私は教科書を捲り読み始めた。

「隣、いいかな。」

スリザリンカラーの生徒が寄ってきて隣に座り始めた。まだ返事すらしていないのに。最初から座る気ならなぜ聞いてきたのだろう。初日だったせいもあるのか、授業は今後の授業のありかたとかの話で終わってしまった。

「初日から普通に授業してくれたらいいのに」

とぽつりと隣の生徒が吐き出した。

『そうだね。大半話を聞いてない生徒が多かったからね。』

「初日は全部合同授業だって知ってた?」

『え、そうなの。』

「昨日監督生がそう言ってたんだ」と生徒は教室から出る準備をし始めた。次ってなんの授業なんだっけ。そう考えると私の考えを読み取ったかの様に彼は「次は薬草学だよ。場所は分かるかい?」と返事をする前に彼はおいで、と言って私を待っていた。私は彼に駆け寄ると私を導くかのように彼はゆっくりと歩き出した。薬草学でもやっぱり彼は私の隣に座った。そして凛とした顔で真面目に先生の話を聞いていた。そしてまた「次はルーン文字だよ。」何故か彼と話していると自然と落ち着いて周りの目なんか気にしてないことに気がついた。多分彼自身が私にそういった目を配ってないからなのかもしれない。
次は昼食なので、彼とはそこでさよならをした。彼自身別に友人がいないわけでも無さそうだ。私と別れた後すぐに友人らの元へと合流していたから。私はそれを恨めしい目で流すと昼食へは行かずに寮へと戻って言った。