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ぼうぜんとする


あの後はせーくんがココアを入れてくれて酷く懐かしい味がした。涙がまた出そうなくらいに。せーくんは朝練が早いのに気にせずにずっと傍にいてくれた。気づいたら隣でせーくんは寝てて、久々に一緒に寝たなって。

『せーくん?朝だよ?遅刻しちゃうよ?』

「そう…朝か…」


せーくんは朝!?と声を荒らげてまた学校でと言うと瞬く間にベランダを超えて自分の部屋に戻ってしまった。朝とはいったけど、まだ五時だと言い忘れた。そうだ。昨日私に付きっきりだったからせーくんご飯食べてないじゃん。頭の隅に浮かんだのはお弁当を作ろうという意思

焦って部屋に戻って、時計を見る。「ご、5時?」力んでいた力を抜いてベッドに、どすんと座る。でも、あと40分したら、家を出なきゃ行けない。効率的に考えて起きてようと選択肢になった。昨日はいつの間にか名前がすやすやと寝息をたてて、懐かしいなぁ、全然寝顔変わらないなと見ていたら俺も寝ていたらしい。安心する懐かしい匂いだったなぁ。

お父さんの予備のお弁当箱を戸棚から取り出しふーっと息を吹きかけるとほこりがふわりと舞う。丁寧にお弁当箱を、洗うとお弁当作りに取り込む。冷蔵庫を開くとウィンナーと卵と鮭とミートボール。お父さんのお弁当のおかずだけど意外とうちの父は子供舌?そうだ!ついでだしお父さんの分も作ろう!もう一つお弁当箱を取り出すと鼻歌を歌いながら卵をかき混ぜた。

そろそろいかないと。がちゃんと玄関しめると、朝日が眩しい。ポケットからイヤホンを取り出し耳にはめる。ふと歩きながら気づく。そういば俺昨日ご飯食べてないや。そんなに名前のことばかり考えていたのか。そう思うと満足感が生まれ学校に行く足も浮かれる。部室につくと仁王や丸井がだるそうな声で挨拶をする。

「おはよう。皆早いな」


「もうそろそろレギュラー戦やからのう」

「俺ら1年全員がレギュラー入りしようぜ!」

皆って…。ふふ、おもしろい。僕もそろそろ本気を出してもいいんだろうか。


「そういえば幸村くん!今日新入部員が来るらしいぜぃ」

「どんな人か楽しみだね」

がやがやとしながらコートに出る。コートにはまだ俺ら1年しかでていない。皆はそれぞれコート整備を進んでやっている。時刻はそろそろ7時を回ろうとしている
そこには小さな声で
『せーくん…』
凛とした小さな鈴のような声が頭の中に響く。振り向くとフェンスの向こうに名前がたっていた。

『おはよう。お父さん!』おー、おはようとあくびをしながらお父さんは洗面所へといく。「おはよう名前」『おはようお母さん!少し早く目が覚めたから朝ごはんも作っといたよ』ほんと!?とぎゅーっと抱きしめられる。名前を産んでほんとによかったわあとなでなでされる。恥ずかしい…。お?今日はおいしそうだな!とお父さんも席に着く。3人でいただきます。食器を片付けるとお父さんのところに行き、「お父さん、これお弁当。私が作ったの。お仕事頑張ってね」と言うとお父さんは無言でお弁当を奪いいってきます。と言うと玄関をでていった。あれ?いやだったのかな?「あー見えてねお父さん照れてるのよ。それに今の感じ泣いていたしね」どうしようもないわねと、いう笑顔を私にむけてくる。『お母さん、そろそろ私も行くね!』えぇ、いってらっしゃい。元気よく玄関を飛び出すともしかしたらせーくんはお弁当とかいらないのかもしれない。由紀子さん(せーくんの母)だってお弁当を作って渡してるかもしれない。どうしよう。渡すか渡さないか。そんなことを考えてるといつの間にか立海についていた。テニスコートに近づくとせーくんはコート整備をしているようだった。キラキラしてせーくんはかっこいいな…『せーくん…』気づいたら声に出ていてはっと口を閉じる。でもすぐにせーくんと目が合った。


20151226